Dramatic Record ~Part 30~ 古びた書物の本棚 2010年04月25日 結局あの後死ぬ気で作業し、書類の山を半分にまで減らしてみせた。(他の役員にもやらせたので最後はほぼ屍と成り果てていたが。) そうして昼食も摂らずに(シュウが家でと言ったので食べなかった。)やって来たのは広大な敷地を持つ屋敷の門前。 片や満面の笑み、片や疲労困憊の顔の二人は躊躇う事無く屋敷の門を潜って行った。 「相変わらず綺麗に咲いてるわね」 二人の歩く道の左右には綺麗に咲き誇る花たち。 幾種類もの季節の花たちが互いの姿を損ねる事の無いように配置されている様は屋敷の持ち主のセンスの良さを窺わせる。 その景色を横目で見やりつつ歩き進んだ二人の目前には立派な玄関扉。 広く取られたその扉は、よく見れば細やかな意匠が施されている。 シュウはその扉へと手をかけ、ゆっくりと押し開いた。 「いらっしゃい」 と、聞こえてきたのは女性の声。 向けた視線の先、踊り場から2階へと行くための階段の中頃に一人の女性が立っていた。 「母様」 呼んだのはシュウだ。 トントンと小さく足音を立てて階段を下りてきた女性に近づく。 “母”と呼ばれた女性---淡い輝きを放つ白金の髪と菫色の瞳を持った女性は、「お帰りなさい」と言いながら近づいてきた息子を抱きしめた。 シュウの顔は母方の遺伝が強いのだろう、よく似た顔は共に微笑み合っている。 「レイナちゃんも、いらっしゃい。お正月以来かしら?」 「お久しぶりです、奥様。しばらく色々ありましたから正月以来、ですね」 満足したのだろう、息子から離れた女性は扉からいくらか中へ入った場所で立ち止まっていたレイナに声をかける。 それに丁寧に返してシュウ同様抱きしめあう。 「さぁ、二人とも。昼食の用意はしてありますから食べましょうか」 「うん」 「はい」 女性の言葉にそれぞれ返事を返して、三人は連れたって屋敷の奥へと消えていく。 ◆◇◆◇◆ 「そう言えば父様は?」 中庭に面したテラスに用意された昼食。 暖かい日差しの中で食事をしていた時、思い出したようにシュウが声を上げた。 「それなのだけど」と、彼の母は前置きをして夫が不在のわけを話す。 「少しトラブルが起きて帰るのが遅くなるらしいの。そんなに遅くはならないと思うから大丈夫よ」 「そっか」 「二人と居る時間が減ると嘆いていたわ」と食後のお茶を一口。 容易に想像できてしまうその光景を思い浮かべ、シュウとレイナは苦笑を漏らした。 その後シュウの父であり屋敷の主でもある彼の人が帰ってきたのは夕方。 明日は生徒会の仕事に追われると言った二人は簡単に挨拶と報告諸々を済ませて学園へと帰っていった。 彼氏の家編終了。(← これで収まるところに収まった、そんな感じですね。 ちなみにシュウの両親への飛び方は父様(とうさま)、母様(かあさま)。 レイナはシュウの両親を旦那様と奥様と呼びます。 シュウはふつうに父さん母さんと呼ばせようかとも思ったのですが…育ちが育ちだから無難と妥協を考えてこの呼び方で。(笑 レイナが自身の両親の事を呼ぶ時は(滅多に無いけど)父上と母上です。 や、だってほら、こっちも育ちが育ちだし…?(← 次回31話、彼氏と彼女と生徒会。 ちなみに32話以降まだネタ出来てないのでまたしばらく更新がっ。 そしてその間に疾風ちゃんを描こうと思っています。(ぁPR