Dramatic Record ~Part 53~ 古びた書物の本棚 2010年08月04日 燦々と太陽の光が降り注ぐエリアル学園の敷地内、普段は礼儀作法としてダンスの練習をするために使われるホールに彼らは集まっていた。 「みんな、各自準備は出来た?」 「ええ、ばっちりよ」 「会場のセッティングOK、料理ももうじき運ばれてくる」 「もちろんプレゼントも」 「それじゃあとは主役を待つだけね」 広いホール内は綺麗に飾り付けられ、彼らがどれだけの時間をセッティングに費やしたのかが窺える。 中央では丸テーブルが多く配され、そこに集まる彼らはみな正装している。 一体何が行われるのか、それは彼らが言う『主役』を待つほかないだろう。 ◆◇◆◇◆ 「いた!」 「ん?」 木の葉によって適度に日差しが遮られた中庭、そこに目当ての人物はいた。 普段生徒たちの憩いの場として使用されているここには、今現在目的の人物と、その人物を呼びに来た者しか居ない。 「やっぱりここだろうと思った」 「何か用?」 木陰で本を読んでいた少女---レイナは、本に栞を挟み閉じると彼の人物へと顔を向ける。 そこには軽く息を切らせた彼女の恋人であるシュウの姿。 その姿を見止めて、なにかあったのだろうかとレイナの顔は自然と険しくなる。 「レイナ、今すぐ来てくれ!」 「ちょ、説明しなさいよ」 言うや否やすぐさま身を翻し駆けて行く彼に、自体の把握が出来ていないレイナは文句を言いつつも素早く立ち上がると彼を追いかけ始めた。 ◆◇◆◇◆ 「………ダンスホール?」 「…」 来てくれ、といって彼が案内した先はなんとダンスホール。 てっきり学園長の元だと思っていたレイナの声音が1オクターブほど下がったのは致し方ないだろう。 不穏な気配を漂わせているレイナに、案内してきたシュウはと言うといささか顔を青くしていた。 「とりあえず、中に入ってくれ」 「は?」 視線を合わせないように斜め下に向けたまま、シュウは言い募る。 それに対しレイナはわけが判らないと怪訝そうにして言い募った彼を見やる。 「入ったら、わかるから」 「……」 理由を話そうとしないシュウに胡乱な眼差しを向けるレイナ。 視線が痛い痛い!とシュウが思っていたのは致し方ないだろう。 「…ったく」 ひとつ呟き、このままこうしていても埒が明かないの判断したのか、レイナはゆっくりと目前の扉へと手をかける。 そのまま腕に力を込めて扉を開くと…。 『Happy Birthday!!!』 パパパン!! 大勢の声と沢山の破裂音、そして舞い散る紙ふぶき。 それらに迎えられたレイナは何が起こったのか脳内の処理が追いつかないのか目を見開いて硬直している。 「レイナ、誕生日おめでとう」 最後にそう声をかけてきたのはここに案内したシュウだ。 その声にようやく思考が回り始めたのかゆっくりと彼を振り返り、小さな声を発する。 「なに、これ」 「だから誕生日」 どうやら思考は回り始めたようだがまだ処理が追いついていないらしい。 なんだこれは。 誕生日? 誰の? 私? …………。 「ありが、とう?」 「おいこら何で疑問系なんだ」 疑問形の何が悪い、まだ頭の中が整理できてないんだから仕方ないだろう。 そんなことを考えられるくらいには整理が追いついてきたらしい。 「レイナ、今日は8月4日。貴女の誕生日ですわよ」 「そうそう、そのために昨日から準備始めてたんだから」 「もしやとは思ってたがわすれてたか…」 まぁ、誕生日を忘れるのはいつものことだけど。 とシュウは続けておもむろにレイナの手を取る。 「レイナ、こっち。父様と母様がケーキを贈ってくれたんだ」 「うわ…」 導かれた先にあったのは大きなバースディケーキ。 今ここに集まっている人数に余裕で行き渡るのではと思えるほどの大きさだった。 「旦那様も奥様も、別にいいのに」 「はは、母様たちが贈りたいって思ったんだから素直に受け取りなよ」 レイナの言葉に苦笑を返して。 小さく口の中で言葉を唱えたと思ったらケーキにさしてあった蝋燭に火が灯る。 これで準備は完全に終了だ。 「さ、火を消して」 「…子供じゃないんだけど」 「レイナ、早くなさいよ」 「そうだぞー」 「………」 みんな口々に火を消すよう言う。 それに大きな溜息を吐いたレイナは先のどのシュウと同じように口の中で何かを唱える。 それが終わった瞬間、蝋燭に灯る火が揺れ掻き消えた。 「うわ、反則」 「ズルイですわ」 「レイナらしいって言えばレイナらしいな」 その様に各々反応を返す。 「さって。俺たちからのプレゼント、ちゃんと受け取れよ」 「はいはい」 こうして彼女のバースディパーティーは幕を開けるのだった。 8月4日は女帝の誕生日。 そういえばみんなの誕生日考えたことあるんですよ。 紙に書いた記憶があるのですが肝心のそれはどこかに行きました。(爆PR