Dramatic Record ~Part 58~ 古びた書物の本棚 2010年09月03日 暦の上では秋の終わりである長月初旬。 涼しくなってきたとはいえ昼間はまだまだ暑さの抜けきらない日々に人々は汗を流しながらも楽しげに各々のするべき事をしている。 そんな光景を眺めつつ時計を確認するのは、ざんばらの、襟足の部分だけが長い紫の髪と、それより濃い色の瞳を持った青年---コウヤ。 黒のシャツに白いズボン、上着として薄手の淡い桃色をしたカーディガンと、首には薄い水色のスカーフを巻いている。その腰には蒼い色の珠(発動前の彼の武器、蒼月だ)が斜めに装着されたベルトに括りつけられていた。 彼は先程からしきりに頭上の時計(見事なレリーフのこれはこの町のシンボルのようなものだ)を確認しては誰かを待っている様子だ。 「遅い…なぁ」 そう呟いた時だ。 誰かが己の肩を叩く。 「悪い、出てくるのに手間取った」 片手を顔の前で拝むように掲げているその人物は、己の兄であるコウリュウ。 自身と同じ髪型の、しかし深い青色の髪と蒼穹の瞳。 黒の七分丈のシャツの上から緑青色のシャツを重ね、首には薄紫のスカーフ、下は黒のズボンを履き、腰にはコウヤと同様彼の未発動状態である紫色の珠---蘭月がベルトに括りつけられている。 「兄様ったら、予定の時間前には来たけど遅いんだもん」 「だから悪かったって。ほら、機嫌直せよ」 「むぅ…」 今日で21歳だというのにこの仕草…と、頬を膨らませ不機嫌だと表している弟に、兄は苦笑する。(同じ顔である分複雑だ) 「さぁ、行こうか。今日は俺とデートなんだろ?早くしないと時間悪なるぞ」 「ん…」 コウヤはコウリュウの言葉に頷くと、ごく自然な動作で兄の上に己の腕を絡め歩き出す。 それをされたコウリュウもまた、当たり前のように弟の腕を振り払うこともなく歩みに合わせていた。 本日9月3日はこの双子の誕生日。 そんなわけで今日の午前は2人でデートという名の買い物を、午後からは仲間内での祝いとなっている。 ◆◇◆◇◆ 「兄様、兄様。俺あれがいい!」 そう言ってコウヤが指差したのは、棚に飾られていたピアスの内の1つ。 彼らが今いるのは雑貨店の店内。 コウヤが見つけたピアスは銀に細工と宝石が嵌め込まれたもの。 その隣には宝石の色は違えと同じデザインのものが置かれている。 2人はそれぞれを手に取ると、揃ってレジへと向かった。 ◆◇◆◇◆ 少し遅いランチを取っている2人。 「あ、そろそろ帰る時間?」 おもむろに時計へと視線をやったコウヤが食事の手を止め呟いた。 「そうだな、これを食べたら帰るか」 「うん」 コウヤの呟きに同じく時計へと視線を向けたコウリュウがそう言うと、2人は少しだけ食事の手を早める。 食事を終えた2人は会計を終え店を後にした。 コレで今回のデートは終わり。 帰ったらサヨとルリを始めとしたみんながバースディパーティの準備を終えて待っていることだろう。 想像するだけで2人の顔には笑みが浮かんだ。 しっかりと手をつないだ2人の耳には、互いに付け合ったピアスが煌いていた。 というわけで、双子の誕生日話でした。 この2人年中(ほぼ一方的だが)仲良いだろうなぁ。 そして誕生日にかこつけてコウヤがデートと言い出しナチュラルにイチャつきながら街中を歩き回ったんですよ。 コウヤがイチャついてくるのはいつもの事と素でやってると思われる。PR