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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Portable Doll ~Part 5~

朝早く、日も昇り始め辺りが明るくなってきた頃。
この家の家主は未だ自身のベッドで微睡の中にいた。
暖かい布団でうとうとしている家主は、不意に階下から聞こえ始めたバタバタという音に心地よい微睡を中断させられた。
その音はどんどん大きくなり、音を発生させている何かが近づいてきていることがわかる。

「……何」

家主―――レイナは、眠気と寝起きで低くかすれた声を発する。
騒音は部屋の前でぱたりと止み。

「レイナ!!」

次の瞬間大声と共に勢いよく扉が開かれた。

「レイナ、今日モニターの発表があるんだけどぜひレイナにもぐぅっ!!」
「黙れ」

口早に喋る侵入者へとレイナは己が先ほどまで顔を埋めていた枕を容赦なく投げつけた。
それは見事に勢いをつけて侵入者の顔へと直撃し、口早く動いていたそれを閉じさせるという役目を全うした。
枕を投げられた侵入者基シュウは痛めた鼻を押さえ涙目になり、「何するんだ」と言っている。

「うるさい私の微睡を邪魔しやがって冥府への片道切符がそんなに欲しいか」
「イリマセン」

少し脅せば彼は小さくなり「ごめん」と謝った。

「で、朝早くから起こしたんだからちゃんと理由はあるのよね?下らなかったらたたき出す」
「いや、だからPDのモニターになって欲しいんだって」
「……」
「……」
「断る」
「えええええ!?」
「片道切符」
「もう騒ぎませんほんと許して」

彼はやはりヘタレだった。


◆◇◆◇◆


「で、そのあと止める間もなく帰った」
「……」

レイナの話に、聞いていた全員が黙り込む。
主にその侵入者よく無事だったな、と。
ここ数日レポートに追われていたレイナは寝不足で、そんな彼女はザ☆不機嫌だったというのに。
ちなみに不機嫌な時の彼女の怖さはここではちょっと有名であり、泣かされた数は数えきれないとか。

「て、ちょっと待って」
「どうしたの」

何か気づいたように声を上げた女性に、他の女性が声をかける。

「どうしてその人がPDを持ってたの…?」
「あ」
「そういえば」
「っち」

声を上げた女性の言葉にほかの面々も気づき始め。
レイナは思わず舌打ちをした。

「そいつが開発者よ。名前が同じでしょ」
「!!」
「うそ!?」
「知り合いだったわけ!?」
「紹介なさい!」

ここまできたら仕方ないとレイナが暴露すれば、見事女性たちが食いつき。
言うんじゃなかったと後悔してもあとの祭り。
今日から数日、レイナは彼女たちを回避するのに苦労したとか。







ヘタレは所詮ヘタレ。
ちなみに女帝は徹夜2日で結構不機嫌。
眠さに頭ぐらつくところへシュウが面倒なのを押し付けた。
しばらく女帝が口きいてくれなかったのは自業自得。
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