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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

それは正しく矛盾

「(うわ、行き成り修羅場)」
『レイ、行かないと』
「・・・・・・」

建物内へと足を踏み入れると、そこには互いに対峙するアーティと七賢者と思われる人物たち。

「プラズマ団って人が持っているものが欲しくなると盗っちゃう人たち?」
「(なんか、先生みたい…)」
「ポケモンジムの前に隠れ家を用意するのも面白いと思いましたが意外に早くばれましたな」
「(そーいう問題なのか)」
「たしかに…まあ、ワタクシたちの素晴らしきアジトはすでにありますがね」
「(見つけ次第破壊決定)」

彼らの遣り取りを聞きながら、レイは普段通りというか、相も変わらず今後の事を考えていく。
大半が失礼なことだったりするのだがそこは割愛しておこう。

「さて、アナタ方。イッシュ建国の伝説はご存知ですか?」
「(たしかドラゴンポケモンが関係してるとか何とか…)」

レイたちの目の前ではアイリスが答えたことにより以前に会った男、たしかゲーチスと名乗っていた人物が語りだしている。
もっとも、あの様子なら答えなくても勝手に喋り始めただろうが。

「このヒウンにはたくさんの人が住んでいるし、生活スタイルもばらっばら。でもな、共通点があってさ」

ゲーチスの話が終わるとアーティが話し始めた。
プラズマ団たちはなにを突然話し始めるのかと疑問符を浮かべている。

「みんな、ポケモンを大事にしてるよ。初めて会う人ともポケモンを通じて会話する。勝負をしたり交換したりね」

それはなにもポケモンに無理強いしたりしているのではない。
ポケモンやその使い手たちがそうなることを望み、そしてそれが叶っただけ。

「カラクサの演説だっけ?ポケモンとの付き合い方を見つめなおす切っ掛けをくれて感謝しているんだよ」
「(たしかに、あの演説は良かった。ポケモンをパートナーとしてみてくれる人が増えたから)」
「そして誓ったね!もっともっとポケモンと真剣に向き合おうってね!」
「(そう、何事も向き合うことは大切だよ)」
「あなたたちのやっている事はこの様にポケモンと人の結びつきを強めるんじゃないの?」

ひょうひょうとした風のあったアーティが真剣な眼差して言う。
あの演説を聴いていればたしかにそう思えるだろう。
彼らが人とポケモンとの結びつきを寄り深くさせようとしているように感じる。
けれど…。

「ふははは!掴み所がないようで存外キレ者でしたか。ワタクシは頭のいい人間が大好きでしてね。王のため世界各国から知識人を集め七賢者と名乗っているほどです」
「・・・・・・王?」

ゲーチスの言葉に引っ掛かりを覚える。
王とは何だろうか、と。

「よろしい!ここはあなたの意見に免じ引き上げましょう。そこの娘、ポケモンは返してやろう」

そう言ったゲーチスは下っ端に命じベルのムンナを解放した。
ベルは帰ってきたムンナにお帰りと言いしっかりと抱きしめる。
そして返してくれたことにお礼を言った。
しかしアイリスはそれが不満だったようで文句を言っている。
けれどベルは帰ってきてくれただけで嬉しいのだと、返してくれたからもういいのだと言う。

「これは麗しいポケモンと人との友情!」

それを見ていたゲーチスは一見喜んでいるように見えた。

「ですがワタクシはポケモンを愚かな人間から自由にするためイッシュの伝説を再現し、人心を掌握しますよ…!では、御機嫌よう」

ゲーチスはそういい残し、部下を連れて去っていった。
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