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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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最終決戦

「しらたま、お疲れ様。ありがとう、君がいてくれなかったら勝つの大変だったね」
『なぁに、主のためさ。それに、我が半身のゼクロムのため』
「うん、そうだね」
「・・・これで僕の理想は終わる」

頑張ってくれたしらたまを撫でお礼を言う。
しらたまもまたそれに答えてくれた。
そんなレイとしらたまの様子を見て、Nは小さな声で言葉を零す。

「・・・・・・・・・・・・ボクとゼクロムが敗れた。キミの思い・・・真実・・・それがボクたちを上回ったか」

悔しそうな苦笑のような顔でNが言う。

「レシラムとゼクロム・・・2匹がそれぞれ異なる英雄を選んだ。こんなこともあるのか」
「・・・元々1匹のポケモンだったとは言え、今は個だ」
「そうだね・・・。同じ時代に2人の英雄。真実を求める者、理想を求める者、共に正しいというのか?わからない」
「今それを判る必要はないと思うけど?だって、人生まだまだこれからなんだしさ」
「異なる考えを否定するのではなく受け入れることで世界は化学変化を起こす。これこそが世界を変えるための数式だったのかな・・・」
「それが全てというわけではないけど、間違ってもいないよ。きっと」
「それでもワタクシと同じハルモニアの名前を持つ人間なのか?」

それきりふつりと黙り込んだNを見つめているレイの後ろから、ゲーチスの声が響いた。

「ふがいない息子め」
「!!」

ゲーチスの言葉にレイは驚きを表す。
まさか彼らが親子だったとは思いもしなかった。

「もともとワタクシがNに理想を追い求めさせ伝説のポケモンを現代に蘇らせたのは『ワタクシの』プラズマ団に権威をつけるため!恐れおののいた民衆を操るため!その点は良くやってくれました」
「・・・・・・」

ゲーチスはレイを通り過ぎてNへと近づく。

「だが、伝説のポケモンを従えたもの同士が信念をかけて闘い、自分が本物の英雄なのか確かめたいと・・・のたまった挙句ただのトレーナーに敗れるとは愚かにも程がある!」
「っ」
「ゲーチス!」

ゲーチスの言葉にNはヒュっと息を呑み、レイは怒りもあらわにゲーチスの名を呼ぶ。
しかしゲーチスの言葉は止まらない。

「つまるところ、ポケモンと育ったいびつな、不完全な人間が・・・。レイ!まさかアナタのようなトレーナーが伝説のポケモンに選ばれるとは完全に計算外でしたよ。ですがワタクシの目的は何も変わらない!揺るがない!ワタクシが世界を完全に支配するため!何も知らない人間の心を操るため!Nにはプラズマ団の王様でいてもらいます」
「んのっ!」
「だがその為に真実を知るアナタ・・・邪魔なものは排除しましょう」
「お前は自分の子供を道具としか見ていないのか!親としての心はないのか!?」
「親の心、そんなものワタクシが世界を支配するためには必要ないものですよ」
「どこまでも腐った奴だな・・・っ!」

ゲーチスの言葉にとうとうレイは怒りを抑えることもなく怒声を発する。
しかしレイの言葉ゲーチスは否定した。

「・・・・・・支配だって?プラズマ団の目的はポケモンを解放することじゃないの?」
「!」

レイの後ろから、今度は聞きなれた幼馴染の声がする。

「チェレン!」
「やぁ、レイ。待たせたね」
「あれはプラズマ団を作り上げるための方便ですよ」

チェレンの言葉にゲーチスは次々と真実を明かしていく。
ポケモンは便利な道具、解放してどうするというのか。
ポケモンを使うことで人間の可能性は広がる、だからこそ使えるのは自分だけでいいのだと。

「貴様、そんな下らぬ考えでおったか!」

その言葉を聞いたチェレンと共に追いついたアデクが唸る。

「なんとでも。さて、神と呼ばれようとしょせんはポケモン。そいつが認めたところでレイ!アナタなどおそるるに足らん。さあ、掛かってきなさい!ワタクシはあなたの絶望する顔が見たいのだ!」
「レイ!!」

ゲーチスが近づいてくる。
その後ろでNが焦ったように自分を呼ぶ声が聞こえる。

「誰が何をしようと!ワタクシを止めることはできない!!」
「・・・・・・」

チェレンたちが止める声を聞かず、デーチスと対峙したレイはボールを構えた。
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