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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

真なるは

「プラズマ団を探しているんだろう?」

ポケモンセンターでシャワーを借り砂を洗い落としたレイたちが街を見て回っているとテーマパークらしき場所に辿り着いた。
そしてそこには何度か出会っている帽子。
あ、と思った時にはこちらに気付いたのだろうその少年、Nに声をかけられていた。

「いや、別に探してるわけじゃ…」
「彼らなら遊園地の奥に逃げていったよ」
「お前も大概人の話しきかねぇなおい」
「着いてきたまえ」

何でオレの周囲には話を聞かない奴が多いんだと嘆いていたら、Nは着いてこいと言ってレイの手を引く。
急な動作だったためレイはその手を振り払うことも出来ず慌てて惹かれるがままにNの後を着いていった。

「・・・・・・居ないね」

辿り着いたのはパークの奥、観覧車の前だ。
Nは周囲を見渡しプラズマ団を探す。

「(おいちょっと待て、何でオレがプラズマ団探してるって思ったんだ…?)」

レイはきょろきょろと周囲を見渡すNの姿に眉間へとしわを寄せ見つめる。
Nはそんなレイの様子には気付いていないのか観覧車に乗って探そうと提案すると強引にレイを観覧車へと乗せた。

「ボクは観覧車が好きなんだ」
「へぇー…」

Nの言葉に対し不機嫌に返事する。
彼はその後も円運動や力学など数式について熱く語っている。

「(てか、何でこんなことに…)」
『・・・・・・』

明後日の方へと視線を向け決してNとは目が合わないように逸らせている。
そんなレイの膝の上にはリボンをつけた(ここに来る前にベルによってダンスへと引っ張っていかれた名残だ)ダリアが沈黙しつつもレイの顔を見上げていた。
ダリアにはNの件もあるので彼の前では喋らないようにと(余計な面倒ごとを避けるためだ)言い含めてある。

「最初に言っておくよ。ボクがプラズマ団の王だ」
「ほほぅ、それは凄いな…って、はぁ!?」

いきなりのカミングアウトに普通に返事し一瞬の思考停止。
次の瞬間、レイは大きな声で叫んでいた。

「ゲーチスに請われ、一緒にポケモンを救うんだ」
「・・・・・・(このシチュエーションってなんか危険な気もするなぁ)」
「この世界にどれ程のポケモンがいるのだろうか…」

ポツリと呟いたNはその後一言も発する事無く。
それにつられてかレイも沈黙したまま。
観覧車はゆっくりと地上へ近づいていた。

「N様!」
「ご無事ですか!」
「(うわ、本当に王かよ)」

地上に着き観覧車を降りると、どこからかプラズマ団がやってきた。
もう嫌だコイツ、と今すぐここから立ち去りたい。

「問題ない。ポケモンを救うために集まった人々も…僕が守るよ」
「(あ、嫌な展開来た)」
「ボクが戦う間にキミたちはこの場を離れたまえ」

要するに彼は、最初から彼らを逃がすつもりでレイを観覧車に乗せたのか。
しかし忠誠心が強かったのかNの身を案じ逃げなかったと。
あのまま逃げてくれてたら良かったのになーと今は別に戦う気分ではないレイは考える。

「……され、レイ。ボクの考え理解できるかい?」
「ちょっと待て、オレはお前に名を言った覚えはないぞ」

いよいよモンスターボールを構えバトルスタンバイしたNに、思わずレイは待ったをかける。
なんで名乗った覚えもないのにコイツは俺の名前を知っているんだ。

「そんなの当然だろう。前にメガネの子が君の事を呼んでいた。それにボクは王だからね」
「ああ…」

そういえばそうだった、と。
何度もプラズマ団を蹴散らしているのだ、報告に上がっていてもおかしくはない。

「というわけで、バトルしようか?」
「今日はもう戦う気なんてなかったのに…」

呟いたレイの声はしかし、すでにやる気になっていたNには届かなかった。







観覧車のシーンが何これデートかと思いました。(黙れ
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