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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Play1

ちち、と鳥のさえずる声。
まだ日が頂点に差し掛かる事なく傾いているこの時間帯は、朝特有の爽やかさに満ちている。

そんな爽やかな朝。
一軒の家の前で掃除をしていた女性のライブキャスターに、通信が入る。

女性は通信に出ると何やら楽しそうに和気藹藹と会話をし。
満足したのか何なのか、通信を切った。

そのまま女性は家の中に入ると、元気の良い声で隣室にいた男の子に声をかける。


******


「ったく、母さんも強引というかなんというか」

そうぶつぶつ呟き歩くのは一人の少年。
まだ発達途中であろうその体は細くとも少年らしいしなやかさを備えている。

彼の名前はシオン。
ここヒオウギタウンに住む少年であり、今日この日晴れてトレーナーとして旅に出る資格を手に入れた。

そんな彼は朝早くに意気揚々余とした母の声に起こされ、矢継ぎ早に質問されたかと思うと家を追い出された。
正確には違うのだが、あの勢いは正しく追い出したと言っても過言ではないだろう。

歩きながら大きく息を吐いた少年の前に、こちらもまだ若い少年と一人の少女が近づいてくる。
彼らはシオンの幼馴染であり兄のように慕ってもいるヒュウと、その妹である。

どうやらシオンが旅に出れるとあって様子でも見に来たのだろうか、妹の方からパートナーを大事にしてやってくれと言われてしまった。

「うん、大事にするよ」

当然ながらポケモンが大好きであるシオンはそう答える。
ヒュウは何やら考えるような仕草を見せるがすぐにいつもの調子を見せ、気のせいであったのだろかと流す。

そしてそのまま母に告げられた通りポケモンをくれるというアララギ博士の助手を探すため、町を歩き回ることにした。


*****


「……もしかして」

しばらく町を歩き回るがそれらしい人物は見つからず。
もしかするとと思いついたのはこの町の名所でもある高台。
遠くまで見渡すことのできるその高台はヒオウギに来たらまずはここへと言われるほどの絶景が見渡せることで有名だ。

果たして目的の人物はそこにいた。
母に告げられていたのと同じ特徴を持っているから間違いはないだろう。

「あのー…もしかしてベルさん?」
「あ!もしかして君がシオン君!?私はベル!アララギ博士の助手をしてるの!」

振り返った彼女は元気よく自己紹介をしてくれた。
つくづく自分の知る女性は元気であると実感させられる。
まぁ、彼女とは初対面なのだが。

「あのね、この中に君のパートナーとなるポケモンが居るのよ」

そういって彼女が見せてくれたのは、カプセルに入った3つのモンスターボール。
そこには初めて旅に出るトレーナーに与えられる最初の3匹が入っているのだ。

「さあ、君のパートナーを選んで!」
「オレのパートナーは…」

君だよ。
ずっと最初から決めていたんだ。
これからよろしくな、ポカブ。
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