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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

Portable Doll ~Part 2~

高層ビルの立ち並ぶここは、文明の高度発展したこの世界の中心とも言える都市。
その中心部に聳えるビルは、世界有数の大企業の本社が多く、今彼女が降り立ったこの場所も例に漏れずそうであった。
ビルの玄関口へと続く階段をゆっくりと登るのは、太陽の光を宿したかのような金色の髪に冬空のように澄んだ青い瞳を持つ女性。
彼女が通り過ぎたビルの玄関口の横には『KC』と社名の入った表が取り付けられていた。


◆◇◆◇◆


「彼はいる?」

ビル内に入り受付へと向かった女性は、受付係になにやらカードのようなものを見せ問いかける。

「これは、レイナ様。お待ちしておりました。社長からお話は窺っております。そちらのエレベーターより地下5階へどうぞ」
「え、上じゃないの?」
「今日は地下におられるようです」
「そう…ありがと」

一通りの遣り取りを終え、女性---レイナは示されたエレベーターに乗る。
そしてポケットを漁りおもむろにカードを取り出すと、操作パネルの横にある溝へとそれをスライドさせ、『B5』と表記されているボタンを押した。
このビルは地下2階から下は特殊な施設ばかりとなっており、先程のカードはその施設に行くためのカードキーだ。
エレベーターはすぐ目的のフロアへとつき、レイナはそこから更に奥へと進んでいく。
その最中所々で見知った顔を見つけては挨拶を交わしていく姿から、彼女が顔見知りか、もしくはそれ以上であることが窺える。
やがてたどり着いたのはB5フロアの最奥、『彼』が詰めているらしい研究室だ。
レイナは軽くノックをすると相手の返事も聞かずに室内へと足を踏み入れた。

「うわっ…」

入室第一声。
今彼女の目前に広がっているのは紙・紙・紙の山。
ついでに床にも紙が散乱している。

「……生きてる?」
「失礼だなぁ」

思わず呟いたレイナの声を拾ったのは元気そうな男性の声。

「あ、生きてた。一週間ぶりくらいかしら?元気そうで良かったわ」
「だからちょっと酷くないか?ちなみに10日ぶりな」

紙の山を崩さないよう注意しつつレイナの元へ来た男性は、乱れボサボサになった銀の髪をかけ上げ、眼鏡の奥にある紫電の瞳が喜色に染まっている。

「まったく、またここで寝泊り?」
「仕方ないだろ。最終仕上げに入ってるんだからさ」

呆れた様子を見せるレイナに、彼は小さく呻いて反論するも、それはばさりと切り捨てられた。

「仕方ないじゃないでしょ。あんたは研究にのめり込むと周りが見えなくなる自覚ある?」
「…っく」

完敗である。
言い返す言葉が見つからない。

「んんー!!」

と、そんな2人の間にくぐもった声が聞こえる。
それはレイナが肩からかけているショルダーバッグの中から聞こえており。

「あ、忘れてた」

どうやら素で忘れていたらしい声を上げた彼女が慌てたようにバッグを開けた。

「ぷぁ…っ」
「ごめん、窮屈だったね」
「ほんとだよ、会社着くまでだって言ってたのに」

バッグから顔を出しぷくりと頬を膨らませているのは、レイナの目前に居る彼とそっくりな容姿を持つ人形サイズの男の子。

「やぁ、久しぶりだね」
「あ、ドクター」

腰を屈め男の子と視線を合わせた彼は、小さな頭をそっと撫でてやる。

「そういえばレイナ」
「何?」

頭を撫でていた彼は何かを思い出したのかおもむろに彼女を見上げ、

「この子になんて名前付けたんだ?」

ずっと聞き忘れていた事を問うたのだった。







やっと発掘しましたPDの続編。
そして早速話がぶった切れております。
だって、ルーズリーフの行がなくなったんだもん。(←

ちなみにPDは呼吸していません(だって機械だもん)が、プログラムとしてその場の状況に(面白おかしく)対応できるようにしてあります。
さっきの様に窮屈な場所に居てそこから出たときは開放感を感じるとか、そんな感じで。
特にレイナの持つPDは特別に彼女用に作られたものなので感情が豊富ですし、これからも増えていく予定。
とりあえず今は喜怒哀楽がはっきりしていて寂しさやら先程のような窮屈だと感じる気持ちなどはあります。

今回はショルダーバッグの中でしたが今度からはちゃんと専用のバッグとかに入らせたいです。
希望としては藤編みかごのバッグ。
中にタオルとかクッション敷いて本人(PD)は居やすくした奴とか。
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