Dramatic Record ~Part 35~ 古びた書物の本棚 2010年05月25日 バキッと鳴り響いたのは何かが壊れる音。 「・・・・・・」 「はぁー」 その後に続いたのは無言と溜息。 「…ペン」 ぼそっと喋ったのは無言だった人物--長い赤髪のサイドを後ろでまとめた銀灰色の瞳の男性--は、それだけを言うと傍らに座っていた人物に、手の中で無残にも真っ二つに折れているペンを差し出した。 「お前コレで何本目かわかってるか?」 その様を見ていた別の1人--全体的にはざんばらの短髪、しかし襟足だけは腰近くまであるそれを一纏めにした明るい蒼の髪と同色の瞳。そして額にはバンダナを巻いている男性--が呆れた様に声をかけた。 「……数、しない」 「11本目だ、11本目!」 蒼髪の男性の言葉に主語を抜かしまくった返答をした赤髪の男--ゴウは、自身の隣に座っていた人物--短い漆黒の髪と赤い瞳の男性--から新しいペンを受け取ると、目の前の書類へとそれを走らせる。 なぜあの言葉で言いたい事が判るのか、それは突っ込んではいけない。 「まぁまぁ、いいじゃねーか」 『いや、よくないだろ』 黒髪の男--エンが気楽にそう言うのに対し、それを見ていた他の人たちが声を揃えて突っ込んでしまったのは仕方ないだろう。 「今月に入って既に11本目なんだぞ!?」 「だからゴウには安物渡してんだろー?」 そう、今月に入ってゴウが折ったペンの数は既に11本目に突入している。 その他にもコップ、扉、練習用武器、etc…。 とにかく彼は日々何らかの物を壊しているのだ。 その原因は単純明快、彼がとんでもない怪力の持ち主だからである。 彼が幼少のころから壊したものは数知れず…。 学生のころは毎日最低2本は折っていたというのだからまだましだろう。 そしてそんな彼のためにエンとゴウの使う机の上(2人の机は隣同士)には常にペンが大量に用意されている。 そんな彼に付いた渾名は『破壊神』。 まさにその名の通りであろう。 「その怪力を制御する方法でも教えろよ…」 「……それが出来たら俺だって苦労してねぇよ」 疲れたようにいう蒼髪の男--リュウオウからそっと目を逸らしたエンは、苦虫を噛み潰したような顔でそう告げた。 これでも良くなってるんだ、とゴウが幼少の頃からの付き合いである彼が言うのだ。 その言葉に嘘はないだろうし信ずるに値する。 何よりこの会話、もう何回も繰り返されていたりするのだ。 はぁ、と溜息を吐いて後頭部を掻くリュウオウは、「減給申し立ててやる」と呟いた。 その言葉をしっかりばっちり聞いていたエンはというと、「無駄だろうなぁ」と隣で再びペンを折ってしまった彼を見て思うのだった。 ●ゴウに書類任すとどうなるか。 結論:書類は片してくれるが被害(主にペン)が凄い。PR