Dramatic Record ~Part 39~ 古びた書物の本棚 2010年06月03日 「面倒なことになってごめんなさい」 朝、顔を合わせて開口一番に言われたのは言い訳も誤魔化しもない謝罪だった。 ◆◇◆◇◆ 「えーっと、シュウが謝るって事はやっぱアレ?」 「…うん」 「うわー…」 「アレ、ですの…」 朝一番の授業を受けるため教室へ向かう生徒たち。 そんな生徒たちでごった返す廊下の端で会話を繰り広げているのは学園お馴染みの生徒会4人組、レイナ、シュウ、エミリア、ファゼだ。 彼らの言う『アレ』とは何なのか、廊下を行く生徒たちは聞き耳を立てる。 「で、あんたが謝るって事は上がらみ?」 「今度はどこですの」 大方検討の付いている聞き方のレイナと場所(?)を確認しようとするエミリアに、訊かれた彼はそっと視線を逸らした。 「先ず間違いなく上が絡んでるかなぁ…なんて。今回は多分、北の隣国だと…」 「そこ、前回もじゃなかった?」 気まずそうに答えた彼の言葉の中、聞き捨てならない単語を耳にしたファゼが問う。 「前回は私の所ですわ。北は前々回ですわね」 「北ってやり方せこいからねぇ」 問いに答えたのはエミリアとレイナだった。 『北って!?隣国って!?てかエミリア嬢が絡んでたって何!!?』と、4人の会話を聞いていた生徒たちの心が一つになった瞬間だった。 余談だが、この時既に授業は開始されており、話を聞いていた生徒(+一部の教師)が見事遅刻した事をここに記しておこう。 「あ、もしかして…」 と、ここで話を聞いていた一部の生徒から声が上がる。 その一部の生徒たちはみな一様に経験があるのか渋い顔をしていた。 「お前ら『アレ』が何か知ってんのか!?」 「教えろ!」 何も知らない、判らない生徒たちがそんな彼らに詰め寄る。 必死な顔は正直ちょっと怖い。 「アレって言えば、アレよ。ねぇ?」 「ああ、アレしかないな」 「だから『アレ』って何!?」 事情を知ってる奴らだけで納得するな!と叫ぶ声。 引っ切り無しにうんうんと頷いていた彼らは、その叫びに漸く口を開く。 「アレってのは、王族や貴族の子供は避けて通ることの出来ない試練だ」 と1人の男子生徒が言う。 カッコよく言っているがそれはつまり…。 「お家騒動ってやつよー」 「そろそろ、あいつ等も婚約や見合いの話がくる年齢だしなぁ…」 『ああ、やっぱりですか…』と漸く事情が判った他の人たちも遠い目になった。 ってか、あの4人組ってそんな身分だったのか…と。 この学園では基本的にファミリーネームは名乗らないので本人が言わない限りはなかなか知ることが出来ない。 それは教師にも言える事のようだ。 「シュウ様とエミリア様の時は大変だったそうですし…」 「北も厄介だとレイナ嬢が言っていましたね」 もしかしたらそこらの大人より世知辛いものを見ている4人組(+同類らしき生徒たち)。 少なくとも一般家庭の生徒たちより遥かに大変であろう。 「関係者以外は首を突っ込まない方がいいわよー」 「え?」 大変だなぁ、としみじみ思っていた彼らに、時には渦中に身を投じざるを得ない彼女たちからの忠告が。 「私たち、学園にいる間はその生活を満喫するための不文律が有るからいいんだけどー」 「無関係な、一般人の方たちに関しては身の保障が出来ないと申しますか」 「はっきり言ってそこまで手が回らないんだよなー」 それはつまり、一般人が下手に手を出して巻き込まれた場合どうなっても責任は負えないと。 改めて彼らへの認識を新たにすると同時に、絶対に首を突っ込まないようにしようと決意した日であった。 学園の生徒や教師たちが『子女同盟』なるものを知ったのもこの日だったとか。 いい所の子供も居るんだしこんな事あってもおかしくないよね?って思って書いてたらこんな話に。(笑 エミリア嬢もシュウ君も良家の出だし。 書いてて楽しかった。 ●補足 子女同盟⇒在学中の王族・貴族・豪商など良家の子女が互いに身を守るために組んだ同盟。 『恋愛は清く正しく美しく!自身の惚れた相手とするべし!』が信条らしい。 その為日夜彼らは互いに縁談話等の情報を交換し合っているとか何とか。 余談ですが、なぜレイナちゃんが巻き込まれてるかについてちょこっとお話。 レイナちゃんの一族は既に居ないのですが、その後継人というか保護者をやってるのがシュウの両親という設定。 んでもって子供2人は非常に仲が良く(おまけに最近付き合いだした)、必然的にシュウのお家騒動に巻き込まれるんです。 大抵のパターンは2通り。 1:相手が居るけどそんなのお構いなしにシュウに縁談話。(被害者⇒シュウ) 2:相手が居るなら蹴散らしてしまえ。(被害者⇒レイナ) とまぁ、こんな感じで。 だから嫌だけど仕方なくレイナはお家騒動に付き合ってます。(誰だって好きな相手を取られるのは嫌だしw) オマケとばかりにエミリアとファゼ。 エミリアは人物設定にもある様に王女様です。 んでもってシュウ君と仲がいい。(親友としての意) こいつら一緒にすればいいんじゃね?とお国の大臣達の考えによりお家騒動に発展した後、ひつこいくらいに何度も話が持ち上がるようになりました。 これがパターン1。 最初はこの2人とレイナちゃんの3人だったのですが、そこに生徒会役員としてファゼがやってきます。 誰とでも仲良くなれちゃうシュウ君を緩衝材としてファゼも仲間(親友)入り。 そうなった時、またもや大臣達が今度はファゼがいるんだしレイナちゃんと一緒にしておけば企み成功するだろうと考えました。 これがパターン2。 これによりファゼは強制的に3人のお家騒動に巻き込まれていくことになります。 と、頭の中の大まかな相関図と周囲の動きを文章にしてみたのですが…。 とんでもなくドロドロになりました。(爆 そして巻き込まれて逃げられなくなったファゼ君ご愁傷様。 相手が相手なだけに巻き込まれたレイナちゃんも…。 ですがそんな人間関係の彼女たちが大好きです。(ぁPR