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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Dramatic Record ~Part 42~

鬱蒼と生い茂る森の中、もう少し歩けば岩山(それもかなりの標高)に行き当たるだろう場所まで来た2人組みは絶賛探し物の真っ最中。

「あ、見つけた」

と、2人組みの片割れ、レイナが上を見上げ声を上げる。
それに釣られて残りの片割れ、シュウも頭上を見やって絶句。
2人の視線の先には高く聳える岩山。
その中腹辺りに見えるのは、鳥の巣。
ただし、地上からでも視認できるほど巨大な、だ。

「なぁ、レイナさん」
「何でしょうかシュウ君」
「あれさ、依頼書内容より大きいよな」
「明らかにね」

「「………」」

しばしの問答の後に訪れる沈黙。
一瞬後、辺りに響いたのは…。

「あんの学園長が!!事前調査くらいしっかりやれよ!」

シュウの怒声だった。
どうやら依頼の内容に一部誤りがあったようで。
彼はウガーっと唸り声を上げて憤慨している。

「ふ、ふふふ…くっくっくっ…」

叫ぶ彼の隣で怪しげな笑いを漏らすのは言わずもがな、レイナだ。
くつくつと笑う様は恐怖以外の何者でもない。

「これは、一度学園長を沈めないといけないわね」

ゆらり。
ふらっと動くそれは影がざわめいている。
怖い怖い!と、隣のシュウは声なき悲鳴を上げていた。

「うふふ…。帰ったら、どう遊ぼうかなぁ」

ああダメだ、完全にキレてらっしゃる。
シュウはくつくつと笑うレイナに涙目。
それは今の状態の彼女に近づいてはいけないという長年の付き合いからくる経験だった。

「精霊召喚、ちび助」
「リュキュ!」
「あーあーあー…」

チビ召喚しちゃったよどうすんだ。
学園に置いてきた白九龍を呼び寄せる辺り、彼女のキレ具合と本気が窺える気がする。
こうなるともう彼女を止めることは出来ない(※矛先が自分に向けられたくないだけとも言う)。

「魂共鳴」

レイナがそう言葉を発すると同時に白九龍の身体が白く輝きだす。
そのままそれは光の球体へと姿を変え、レイナの中へと吸い込まれていく。
光が完全に消えた後には、彼女の髪は白銀に、瞳は青藤色に変化していた。
その色彩は彼女の中に吸い込まれた白九龍と同色で。

「ちょっと行ってくるわ」
「はいはい」

いってらっしゃい、と手を振り送り出す。
彼女はそれを視界の端に捉えつつ、背に白い翼を出現させた。
形状は蝙蝠の翼によく似ていて、白九龍の背に備わるものと同形状。
直ぐに白九龍のものだと理解できた。
レイナは翼をはためかせ飛び立つと、件の鳥の巣まで行ってしまった。

「にしても、久々に見たな」

彼もあれを初めて見た時は心底驚いたものだ。

『魂共鳴』とは、彼女とそのガーディアンだけが出来る特異技。(※誤字にあらず)
契約主の中にガーディアンを取り込むことで通常の共闘よりも戦闘能力が格段に上がるのだ。
しかし1つの肉体に2つの魂が存在することは通常ありえないことであり、心身ともにかなりの負担があるだろう。
規格外の彼女だからこそ出来ることであり、他者には絶対真似する事の出来ないものだった。

彼が色々考え込んでいる間にも上空では一方的かつ凄惨な戦いが繰り広げられている。
時々舞い降りる羽に、彼はそっと手を合わせた。
恨むなら依頼を遣した依頼主にしてくれ、と。

本日の戦利品:鳥の肉(結構美味しかった)と巨大卵。
負傷者:学園長(帰還したレイナの手により病院送りにされていた)。







楽しかったです。
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