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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

Dramatic Record ~Part 48~

「あー、もう最悪!」
「濡れましたわね…」

そう言って部屋の前でパタパタと服についた水を払っているのは(といっても見事に濡れているためあまり意味はないが)2人の少女、レイナとエミリアだ。
気休めにしかならないその動作を終えた2人は目前にある扉を開く。

「あ…」
「え」
「げ」
「っ!」

4者4様の声が上がった。
室内に居た青年2人(シュウとファゼだ)は、レイナたち同様濡れたようで、丁度着替えようとしていたらしい。
室内に設置されているソファーに着替えの服を掛け、上着を脱ごうと、もしくは脱いだところだった。

「あー…お帰り?」
「……」

しばし呆けていた4人だったが真っ先に正気に戻ったらしいシュウが取り合えずとばかりに無難な挨拶を口にする。
しかし声をかけられた少女2人は無言。
その様に顔を見合わせたシュウとファゼは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
その顔は「まずいかなぁ」と言っているようで。
「仕方ない」と小さく呟いたシュウは立ち尽くしている2人の許へと歩み寄る。
そしておもむろに2人(主にレイナの方ではあったが)覗き込んだ。

雨に濡れた髪はしっとりとしており、最近延びてきた襟足部分の髪が水分によって首筋に張り付いている。
スラリと高い身長(彼の身長は180cmはある)、無駄のない筋肉に覆われたしなやかな身体。
軽く身を屈め小首を傾げてくるさまは非常に…いただけない。
何がって、そりゃもう色々。

それを見てしまったエミリアはボフンと音を上げて(これは幻聴だ)顔を真っ赤に染めている。
レイナはというと、さすが幼馴染と言うべきか、何の反応もない。

「な、あ、あああの、シュウ様!」
「ん?」
「~~っ!」

真っ赤になったエミリアはとうとう耐え切れなくなったのか声にならぬ叫びを上げて蹲ってしまった。
シュウは彼女がなぜ真っ赤になったのか理解していないのか、口元に笑みを乗せ首を傾げたまま。
2人の様に、隣に居たレイナは額を押さえ溜息を吐いた。

「ところで」
「ん?」
「なんで生徒会室で着替えてるわけ?」
「……えへ☆」

じっとねめつけるような視線に笑ってごまかそうと試みる。
レイナはプツッと何かが切れた気がした。

「っんの、寮で着替えてきやがれ!」

ウガーっと吼えて廊下を指差す。

「だってまだここで仕事残ってるし」
「ここと向こうじゃ距離あるし」

「なー?」と声を揃えてシュウとファゼは言う。

「つべこべ言うな!」
「え、ちょ、待てってうわぁ!?」
「それ反則それ反則それ反則ううううう!!」

静止と反論の声空しく、青年2人は影に呑まれて姿を消した。
お題No.2 雨






生徒会室で大胆にも着替えるシュウとファゼ。
脱いでたのはシュウ君でした。
この後彼らは寮にそのまま送り届けられます。(『闇送り』という月影の技)
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