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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Dramatic Record ~Part 55~

ばさりと大空を羽ばたくのは巨大な影。
白い巨躯と同色の翼を持つその姿はドラゴン。
あまりの巨体に地上からでは視認できないだろうがその背には一組の男女が跨っていた。

「ちー、あれの上に」

そう指示を出すのは一番前に跨る少女、レイナだ。
彼女の言葉に“ちー”と呼ばれた翼竜はひと鳴きすると、指示されたとおりにアレ---リヴァイアサンの真上に飛ぶ。

「しっかし、まさかちび助がこんなに大きくなるとはなぁ」

乾いた笑いと共にそう零したのはレイナの後ろで翼竜にまたがり彼女の腰へと腕を回している青年、シュウだ。
そう、この翼竜はレイナのガーディアンである白九龍ことちび助のちーちゃんが変化した姿。
まだ何かありそうだとは思っていたが、まさかこれ程とは、と驚きを隠せないのが現状だ。

「ちーは精霊の中でも特別だからね。それにこっちが本来の姿よ。普段のあれは大きすぎると一緒に居られないからって変化してるだけ」
「え、そうなのか?それじゃくーも…」
「くーはまだかな。後数年もすればこれくらいになるとは思うけど」
「へ、へぇ…」

こんなのでかいのが2匹…と、そこまで考えて思考を放棄する。
これ以上考えていても何かあるわけではないし、ましてや今は依頼遂行中だ。
もうすぐ標的につくので思考を切り替えねば。
シュウは頭を一つ降ると思考を依頼へと切り替えた。

「シュウ、頭上に着いたわ。私が先に降りて足場を作るから、それを確認してから降りてきて」
「わかった」

彼が頷くのを視界の隅で認めるや否や、レイナは翼竜の背から下の海へと身を躍らせる。
それから数瞬後、空を切るような咆哮が聞こえたと同時に凄絶なる魔力の本流が伝わってきた。
レイナが魔力の一部を解放し魔法を使ったのだ。
シュウが翼竜の背から下を覗くと、底にはいくつもの氷塊が浮いているのが確認できた。

「うわぁ…」

真夏の海に流氷もかくやな氷の塊り。
ちょっとどころか、かなりシュールな光景だ。

「と、こんなことしてる場合じゃないな」

自分たちが今しなければならないことを思い出したシュウは、先程のレイナと同様に眼下の海(正確には氷塊だが)を目指して飛び降りた。


◆◇◆◇◆


「ったく、ただの縄張り争いで暴れていたなんてはた迷惑な」
「レイナさーん、縄張り争いは彼らにとって死活問題だからなー?」

あの後2人が氷塊を足場にリヴァアサンを退治していると、海の底からもう一体の魔物が現れたのだ。
それを見て2人は瞬時に悟った。彼らは縄張り争いをしていたのだと。
その後のレイナの動きは素早く、そして恐ろしかった。
2匹が動けぬよう縛魔の魔法をかけると同時に氷塊を足場として文字通り叩きのめしたのだ。それはもう欠片の容赦も出ずに。
おかげで2匹の魔物は今も海の中で気絶よろしく浮いている。

「だからってこの時期に縄張り争いは迷惑だっての。やるなら冬よ、冬」
「だなぁ」

拳を握って力強く言うレイナに、シュウは苦笑しつつ頷く。

「まぁでも…」
「ん?」
「海に来れたのはよかったかなって」
「………うん、そうだな」

ぼそりと呟いた霊菜はフィと顔を横に向けてしまい。
けれども見える耳は真っ赤になっていて。
それを見たシュウの顔もまた、ほんのりと赤く色づいていた。

「時間あるし、遊んでいくか」
「えぇ」







後半から強制終了のお知らせ。(爆

てことでお待たせした続きです。
はた迷惑な縄張り争いが原因でした。
叩きのめされた魔物2匹はこれで懲りたことでしょう。

次回56話、依頼という名の労働。(←
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