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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Dramatic Record ~Part38~

広大な森の中、動物にしては異様な気配がいくつも存在している。
そんな森の入り口に突然魔法陣が現れ、いくつかの影が出現した。
魔法陣は影を出現させると何事も無かったかのように消え失せる。

「ここ、ね」
「数…は、50前後かな」

影---レイナとシュウはそれぞれ確認するかのように口を開く。

「依頼書もそれくらいの数ですわ」
「結構、バラけてるなぁ」

残りの影---エミリアが手元の依頼書を見て内容を確認していく。
その言葉に続くのは漆黒の髪と瞳に赤い半フレームの眼鏡をかけた青年。

「まぁ、ここで考えてても仕方ないし行こうか?」

3人を促すようにシュウが言う。

「あぁ、ちょっと待った」
「どうかした?」

シュウの言葉に森の中へ入ろうとしていた彼らを止めたのはレイナだ。
それにいぶかしんで問うた青年---ファゼにレイナは答える。

「ん、バラけてるから森に逃亡防止用の結界張って」
「ちょ、ここかなりの広さですのよ!?」
「あら、森の外に逃げられるよりはマシでしょう?」

さらりと無茶を言ったレイナにエミリアが抗議すると、彼女はコキリと首を傾けもっともなことを言う。
しかしそれでも内容はなかなかに無茶苦茶だ。

「レイナー」

と、2人が言い合いをしている横から声がかかった。
2人はそれにつられて声のした方を見やる。

「準備終わったけど。いつでも張れるよ」

そこには無茶をなんでもない事のようにやってのけようとしている人がいた。

「シュウ様、まさか…本当に張るおつもりで…?」
「え、ダメだった?」

驚き尋ねるエミリアにシュウは逆に驚いたように訊き返す。
本当になんでもない事のように言う彼に、エミリアとファゼは開いた口が塞がらない。

「そりゃ君の魔力も多いのは知ってるけど、いくらなんでもこの範囲は…っ!」
「そうですわ。すぐに倒れてしまいますわよ」

2人の言葉にクスリと笑い彼は大丈夫だと言う。

「絶禍」

言葉と共に、彼は左手を軽く振るう。
とたん、辺りに響いたのは「リィーン」と高く澄んだ音。
その音を発したのは彼の手中にあった鈴だった。

「それ、シュウ様の?」
「ああ」

エミリアが鈴を見ながら問う。

「攻撃用の瞬禍と、防御用の絶禍。それぞれ特化した能力を持ってるんだ」

見せるのは初めてだっけ、と手に持つ鈴とベルトに固定していた鈴を見せる。
初めて聞いたその話にエミリアとファゼは再び驚かされた。

「わたくし、その鈴はただの飾りだとばかり…」
「俺もだ…」

そういって、2つの鈴を凝視する。
視線の先、『絶禍』の方には確かに魔力が通っており、何か魔法を使っていることが見て取れた。
そんな2人の様子を見ていたレイナはクスリと笑うと「この話はまた後で」と言って意識を依頼へと向けさせる。

「さ、早く済ませてしまいましょう」
「そうですわね」
「わかった」

それぞれに返事をして、彼女たちは依頼完了の為森へと入っていくのであった。







●補足
・『瞬禍』『絶禍』の共通点。
 一見ただの鈴にしか見えないが実は内部に鋼糸が仕込まれている立派な武器。
 鋼糸とは糸に見えるがよく見ると細かい刃に加工された『斬る』武器のこと。
 その特殊性から扱いは非常に難しく下手をすれば自分の手も切断しちゃう危険物。
 使い方次第では遠・中・近距離全てに対応できる。
 ちなみにシュウ曰く『鋼糸どこまで伸びるのか不明なんだよね☆』らしい。
 (※あくまで設定は作者に都合のいいように出来てます(爆))

瞬禍⇒攻撃用。魔力を込めることで切れ味抜群の武器に。属性添加も可能。
     攻撃用なだけあって鋼糸はかなりの強度を誇る。
絶禍⇒防御用。鋼糸を伸ばし範囲指定後相応分の魔力を込めることで結界が形成される。
     また、鈴の表面には増幅型魔器と同効果の魔法陣が描かれている。
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