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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

Dramatic Record ~Part 34~

「クー、鳳焔火!」
「デュィ!」

実習場に響くレイナの声。
それに答えたのは可愛らしい動物の鳴き声だ。
鳴き声が聞こえた一瞬後に現れたのは紅蓮の炎がかたちどった火の鳥。
炎を召喚したのは大きな猫か小さな犬ほどの体躯の漆黒の生き物。
鱗に覆われた身体は背に一対の翼を備え、赤い瞳を煌かせる。
レイナのガーディアン(守護獣)として契約をしている黒九龍だ。

「っ、焔燈(えんてい)回避!」
「!!」

目前に迫った火の鳥をシュウは指示を出しながら飛び退く。
その指示を受け共に攻撃を回避したのは猫ほどの体躯をした赤い毛並みを持つ獣。
回避しつつも毛と同色の瞳は敵--レイナと黒九龍から外されることはない。

「火奔り!」
「--!」

シュウが攻撃の指示を出すと赤い獣--焔燈は一つ、咆哮する。
と同時に地を舐め這い回るかのように炎が出現した。

「属性変化、水」
「デュキュ!」
「波流壁!」
「デュー!!」

シュウの攻撃を見止めたレイナもすかさず黒九龍へと指示をする。
するとそれまで火の気配を纏っていた魔力が水の気配へと変わった。
次いで出された指示に従った黒九龍は水の障壁を召喚する。
それは焔燈の攻撃を完全に防ぐほどの防御力を見せた。

「そのまま流水撃!」
「デュイ!」

水の障壁が崩れたかと思いきや、それは水流となりシュウたちを襲う。

「うぇええ!?」
「-!?」

哀れ、彼らは防ぐ間もなく水流に呑まれた。
辺りは水浸し、所々には水溜りもある。
シュウと焔燈はというと、実習場の端まで押し流されていた。

「クー、お疲れ」
「デュデュイ!」
「リュキュッ!」

戦闘は終わったとレイナは黒九龍に近づく。
彼女の後ろで戦闘を見ていた白九龍も飛んできた。

「レイナ!」
「ん?」

1人と2匹が戯れていると、復活したのだろうびしょ濡れのシュウがこちらへと来る。
その後ろでは焔燈が身を振るい水気を飛ばしていた。

「もうちょっと手加減しろよ」
「そう言われてもねぇ…」

言われたレイナは「この子は破壊を司るから難しいのよ」とコロコロ楽しげに笑いながらのたまった。

「っく…楽しんでるだろ!」
「それがなぁに?」
「……」

こっちは真剣なのに、向こうはどうやら楽しんでいるようで。
悲しきかな、こうして今日も彼は彼女に負かされた。







生まれて間もない(と言っても数ヶ月)の精霊の戦闘訓練。
そしてシュウ君の精霊初登場。

↓ガーディアンと属性変化についてちょこっと。

先ずガーディアン(守護獣)について。
精霊が契約を交わすとガーディアンという呼称になる。
契約主(召喚術士)を守る存在。

属性変化について。
自身の使う属性を切り替え別の属性を使用可能にすること。
その為の絶対条件に精霊が複数の属性を持っている必要がある。
これは今のところ白九龍と黒九龍だけ。
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