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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Dramatic Record ~Part 45~

「月影は手を出さないようにね」

彼女は始まりの合図と同時に自身の影に潜むモノへと命じる。
それに応じる気配を感じると、再び前へと向き直った。

「覚醒、紅桜」

レイナが右手に鞘を、左手に柄を持つと抜刀しつつ声を発すると、刀は白刃から紅刃へと色を変えた。

「響鳴、瞬禍、絶禍」

シュウが両手の人差し指と中指の間にそれぞれ挟んだ鈴を鳴らし言葉を発すると、鈴から細い糸が伸びる。

「輝け、蒼月」

コウリュウが右手に下げた飾り珠を一つ撫で言うと、珠を通していた紅い組み紐の先に剣が現れた。

「発動、黒銀」

ビャクヤがホルスターから銃を抜いて言い放つと、引き抜かれた銃の周囲に魔法陣が浮かび上がる。

4人の武器がそれぞれの変化を起こすといよいよ戦いが始まる。
始めに動いたのはレイナとコウリュウだ。
コウリュウは上から件を振り下ろし、レイナは刀を振り上げる。

「っく…」
「……っ」

ガキィィィンー…と互いの武器がぶつかる音。
キリキリと力の拮抗する音が僅かに聞こえる。
両手で剣を構えるコウリュウと片手で刀を構えるレイナ。
状況的にも身体的にも優位なのはコウリュウのはずなのに、レイナは彼の攻撃を受け止め、しかもその力は拮抗している。

くつりとコウリュウが笑った。

フッと刀にかかる重みが消えると同時に彼はクルリと身体を捻り攻撃をかわす。
すぐさま身を引こうとしたレイナが見たものは、銃を構えつつも接近してくるビャクヤの姿。

『ガン=カタ』と呼ばれる銃と体術を組み合わせた彼が得意とする戦闘スタイルだ。
この戦闘スタイルのおかげで彼は遠・中・近距離全てに対応できる。
また、『黒銀』から放たれる魔力の弾は強力だ。

「チッ!」

舌打ちを一つしてレイナは後ろに飛びのく。

「こっちを忘れるなよ」

と、レイナの横からコウリュウの声がする。
彼はビャクヤの接近の盾となり身をかわした後、その反動のまま彼女の横に移動していたのだ。
マズイ、とレイナは一瞬にして判断を下す。
前と横、これだけ接近されているとさすがの彼女でも魔法なしに攻撃をかわしきることは難しい。
すると彼女の耳元、彼らが接近するのとは別の聞きなれた音が聞こえてくる。

「レイナ、乗れ!」

シュウの声と共に視界の端に入るのは銀糸。
いつの間にかレイナの周囲に張り巡らされた彼の武器、瞬禍と絶禍から伸びる鋼糸だ。
障害物のない実習場で、どうやってこの空間に糸を張り巡らせているのか。
訊くところによると使用者本人もその原理をわかっていないらしい。

「ごめん、ありがと」
「しまっ!」

コウリュウの攻撃が届く寸前、レイナは足の裏へ魔力を集中させるとそのまま跳躍し、自身の周囲に張り巡らされた鋼糸の1本へと飛び乗った(足の裏に魔力を込めているので切断などというヘマはしない)。
跳躍した彼女に、コウリュウの攻撃は空を裂くだけに終わった。

「俺が行く」

その後をすかさずビャクヤが動き、黒銀の照準をレイナへと合わせる。
すると黒銀の周囲に浮かぶ魔法陣がキュルキュルと回転し、彼の手の平から弾倉、そして銃身へと魔力が集まるのが判った。
数秒で完了したその動作に誰もが撃たれると確信する。

「装弾完了♪」

ニッと笑った彼は躊躇いもなく二丁の引き金を引く。
銃口から、魔力の弾が放たれた。







ようやく戦闘開始。
そして話は43話の冒頭へ。

続きます。
あと2話くらい。
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