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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

Dramatic Record ~Part 49~

「あれ?」

ふと目に付いたのは、彼女の首に掛かるそれ。
少々小振りのそれは陽の光に照らされ澄んだ薄青色の輝きを放つ。

「レイナ、そんなの持ってたっけ?」
「ん…あぁ、これ?」

気になって問いかけてみたら、暑さのために寛げていた制服の前から覗くそれに手をかけ聞き返してきた。

「そう、それ。はじめて見た気がするんだけど」
「これはね…」

胸元に存在する水晶にも見えるそれを片手で弄る彼女の瞳は、ここではないどこか別の場所を見ているような、懐かしむような色を宿している。
不意に彼---シュウは不安に駆られた。
今儚く見える彼女がどこかに行ってしまいそうで。
無意識にそっと彼女の腕を取ると、そのまま身体を引き寄せて自身の腕の中に閉じ込める。
突然の行動に、腕の中に閉じ込められた彼女は目を瞬かせ彼を見上げた。

「シュウ?」
「なんでも、ない…」

いぶかしむ彼女にそう応えて笑みを浮かべる。
本当は急に不安になったのだと、君が消えてしまいそうに思えたなどとは決して言わない。

「で、それは何?」

これ以上は気かな方がいいのだろうけど、どうしても気になったから。

「これは氷晶石っていうの」
「ひしょうせき?」

初めて聞く名称だ。
思わずひらがなで聞き返してしまった。

「正確には鉱石じゃなくて魔力の結晶でね、お守りなの」
「結晶…」

彼女の言葉には驚いた。
だって、普通は魔力が結晶化するなんてありえないから。

「ふふ、これは特別でね。ちょっと特殊な製法で作られたのよ」
「それは、蒼が?」
「いいえ、私の母よ」
「!」

『母』と言った瞬間の彼女に瞳には、深い悲しみ。
マズった、と少し前の自分を呪いたくなった。
だって彼女は、まだ完全に悲しみから抜け出せていない。
普段は平気そうな、何も感じさせないのに、時々酷く悲しそうにしているのを俺は知っていたというのに。
知らず知らずのうちに腕の力が強まっていたようで、彼女は小さく呻いて身をよじった。

「ぁ…ごめん」

小さく漏れた謝罪の言葉は、はたしてどちらに対してのものだったのか。
あるいはどちらでもないのか、その判断はつかない。

「それは良いけど、どうしたの?痛そうな顔してる」

自分だってまだ痛いだろうに、そんなこと感じさせない風で。
やっぱり彼女は凄いなと思う。

「なんでもない。本当に、なんでもないから」
「……そう」

なんでもないと言ったけど、きっと彼女にはお見通しだろう。
彼女はとても聡いから。
俺は彼女を抱いたまま、その肩へと顔を埋めた。
お題No.6 水晶







祝☆女帝が大人しい!(爆

ちょっとシリアス風味。
書いてたらシリアスになった、あっれぇー?
しかしヘタレが女帝を抱きしめちゃったよ女帝も大人しいよなんてこった!
ヘタレよ、そのまま頑張れ!!(←
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