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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

悪は悪であってそれ以外にはなりえない

「オレ、前にも言ったよね。君たちのやってることは結局のところ悪でしかないんだって」

また、あの人が言う。
私の大切なトレーナー。
友達だと、仲間だと、家族だと言ってくれる、優しい声と手を持ったあの人。
私はあの人をじっと見上げる。

「前にも言ったのに、どうしてわかんないかなぁ」

トレーナー、レイは呆れたように言う。
カリカリと己の頬を軽くかき、目の前の盗品を抱える人物を見つめる。
その人物は既に何度か相対しているプラズマ団の下っ端。
博物館から奪った大きなドラゴンの頭部の骨を抱え、レイの気迫に呑まれながらも気丈に言い返す。

「そ、それがどうした!ポケモンを人間から解放するためにはそうするのが一番なのだ!」
「じゃぁ聞くけど、全てのポケモンがそれを望んでいるのかな?」
「・・・・・・っ!」

答えられないだろうね。
だって、ポケモンの中には人と在る事を望むものがちゃんといるのだから。

「まぁ、いくらいっても君たちは通じないのだろうけど」

遠くから足音が聞こえる。
今回はこの辺にしておくか、と場を満たしていた威圧感を霧散させた。
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