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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

せめて案内をするべきだ

「っち、どこだよ…」
『あぅあぅ』
「ああ、ごめん。怖がらせたな」

クスッと笑って傍らで慌てているダリアの頭を撫でる。
なにかとやっているこの仕草はこの数日ですっかり染み付いてしまった癖だ。

「またプラズマ団が出たから手伝ってくれってのは良いけど…どこだよ」
『初めてですから…』
「だよなぁ、不親切すぎるだろ。普通はこう、道案内とかさ…」

彼らはただ今絶賛迷子中。
はじめてきた土地と夜ということも有りどこがどこだかわからず仕方なしに手当たり次第に見て回っているのだ。

「お?はっけーん」

遠くを見たレイが呟く。
ダリアがその方角を見ると、アーティとベル、そして見知らぬ女の子がいた。

「プラズマ団、この子のポケモンを奪ったって…」
「レイ、どうしよう。あたしのムンナプラズマ団にとられちゃったぁ」

どうやらおっちょこちょいのベルはポケモンを奪われてしまったらしい。
レイはえぐえぐと泣くベルを見つめて呆れた表情をする。

「あたしね、おねーちゃんの悲鳴を聞いて必死に追いかけたんだよ!でもこの街人多いし見失っちゃったの…」

レイがどうしたものかと考えていると、ベルの横にいた女の子が一生懸命状況を説明してくれた。

「アイリス、君は出来ることをしたんだから」
「でも、ダメだったもん!人のポケモンを取っちゃダメなんだよ!!ポケモンと人は一緒にいるのがステキなんだもん!お互い無いものを出し合って支えあうのが一番なんだもん!」
「アイリスちゃん…」

彼らのやりとりを静かに見守りつつ、レイは少女アイリスの言葉に共感する。
それと共に相変わらずなプラズマ団をどうするかと思考をめぐらせる。

「---…!ね、レイ君!」
「は、えっ?」
『レイ…』

自分の思考に耽っていたレイは突然アーティに話を振られ呆けた声を出す。
足元のダリアが嘆息しながら声をかけてきた。
ダリアが話の説明をしてくれている間に3人だけで話が進み。

するとレイが来た道からプラズマ団の下っ端がやってきた。

「なんでジムリーダーが居るの!?せっかくもう1匹奪おうと思ったのに…っ!」
「(あ、こいつこの前とは別の奴だな)」

犯人は現場に戻るを色々な意味で実証してくれた下っ端を見つめ、レイはズレた考えをする。
とりあえず…。

「獲物発見」
『・・・!?』

アーティが呼ぶ声に隠れるようにして小さく呟いたレイの言葉に、ダリアは冷や汗が流れた。
ご愁傷様です、プラズマ団。
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