Dramatic Record ~番外 17~ 古びた書物の本棚 2011年01月09日 ●内容 女帝の弱点探してみた結果。 時間軸は女帝がシュウ一家に来てからしばらくして打ち解けた辺りだと思われる。 月影はこの頃すでにレイナのガーディアン。 色んな意味で、反省はしていない!(← 「うっわあああああああああ!!?」 朝から屋敷に響いたのは、女らしさの欠片もない彼女の叫び声でした。 「ひーちゃん!?」 「どうした!」 「なんだなんだ?」 突然響いた叫び声に驚いた屋敷の住人達は大慌てで彼女のもとへと駆けつける。 その筆頭は言わずもがな、この屋敷の主夫婦の次男坊シュウだ。 (ちなみに“ひーちゃん”というのはシュウが勝手につけた彼女の愛称だ。) シュウは叫び声の上がった場所、彼女の為にと宛がわれた部屋の扉を勢いよく開き。 「……何?」 一言呟き視線の先を凝視した。 シュウの視線の先には決して狭くはない部屋の隅で身を固めている少女の姿。 この部屋を宛がわれているレイナだ。 「シュウ、どうだ?」 「レイナ?」 扉を開いて固まったシュウの後から慌ててやってきた住人達が顔を覗かせる。 シュウに声をかけたのはリュウオウとコウリュウだ。 彼らの後からもレイナの叫び声を聞きつけた人達が集まってきており、彼らも同様に中を覗いて。 「なんというか」 「微笑ましいわね」 「…微笑ましいか?」 思い思いに口を開き、ある者は淡く笑みを浮かべある者は呆れ顔をし。 そんな住人たちの視線の先には相も変わらず部屋の隅で身を固める少女の姿。 それだけでも普段の彼女とは様子が違うのに、彼女の眼にはしっかり張られた涙。 零れ落ちた様子のないそれはしかし今にも零れそうなほどにまで溜まっている。 そしてよく見ると彼女の足元の影がうごめいている。 そう、影がうごめいて……うごめく? 「何アレ」 「知るか」 一先ず、普段の少女の様子を思い浮かべ特に何もなかった事から彼女の感情の高ぶりに反応しているのだろうと辺りをつける。 何が反応しているのかはさっぱりわからないが。 「レイナー?」 「あ、おい」 そんなには気にしないとばかりに声をかけ近づくのもこれまた言わずもがな、シュウだった。 近づくシュウに声をかけるのは周りの人たちだ。 しかしシュウは彼らの声を聞かずにレイナのもとへと行き、少女の前でちょこんとしゃがみ視線を合わせた。 「どうしたの?」 「…が、いて…こっち……た」 視線を合わせたまま身を固めるレイナに声をかける。 声をかけられたレイナは、堪えていた涙をとうとう零れさせ小さな声で何かを囁く。 「ごめん、ちょっと聞き取れなかった」 小さかったその声ではレイナが何を言ったのかちゃんと聞き取れず、もう一度と彼女を促す。 そうすると、今度はちゃんと聞き取れる声で彼女は言ってくれた。 「だから、何か黒いのがいたの!カサカサってっ、こっち来て飛んだの!!」 その瞬間、彼らは判った。 レイナが泣いていたわけも、黒いものの正体も。 そりゃ、誰だっていやだろう。 太古から子子孫孫とその姿を変えることなく生き続け、現在はどこのお宅でも害虫認定されているあの黒光りした生物を。 思い出した一同は、皆が皆一様にして嫌そうな表情を浮かべた。 「やつか」 「あれは大抵のやつは嫌がるからな」 「やつは俺も苦手だ」 「ちなみに、それどうなった?」 大方見当はつくのだが、あえて聞きたいのが人の性か。 集まってきた人たちのうち一人が思い切って聞いたのだが。 「怖くて、目を瞑って開けたらいなかった」 「………」 それって多分…と、未だレイナの足元でうごめく影を見やった彼らはそれ以上言うことはなかった。 恐らくきっと間違いなく、その判断は正しかっただろう。PR