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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Dramatic Record ~Part 3~

「洞窟ごと吹き飛ばせばいいんじゃない?」

その、なんとも不穏な発言に。
彼女と共に同行していた仲間は大量の冷や汗を流した。
太陽の光を受けて淡く輝く金糸と、大空を切り取ったかのような蒼い瞳を持つ少女―――この世界ではトップクラスの魔力を有する我らが生徒会長様のレイナは、面倒くさそうに前髪をかき上げ先ほどの科白をおっしゃった。

「ちょっと待て、それは拙いぞ。非常に拙いから実行するなよ?」

と、必死に彼女を説得しているのは深海の如く深い青を湛える髪とそれよりやや薄い青の瞳を持った青年―――上にも下にも問題児を多く抱える語学担当のコウリュウ。
そしてその隣には襟足まで届くくらいのざんばらな銀糸と紫の瞳を持つ青年―――彼らが籍を置く学園では有名な、さる名家の子息にして副生徒会長のシュウ。
必死にレイナを止めようとしているコウリュウと違い、こちらはそのやり取りを微笑ましそうに見ている。

「シュウ、お前も何か言ってやれ!このままじゃ本当にやりかねんぞ!?」

彼らが今居るのは洞窟の入り口の前。
この洞窟、中は立派な鍾乳洞となっており貴重な自然の残る場所なのだ。
そんな場所を吹き飛ばしたとあれば…考えたくはない。
そんなわけもあり、彼は必死にレイナと止めようとしているのだ。

「だって、洞窟ってジメジメしてるし」
「レイナ、ジメジメしてる場所苦手だよな」
「そんな問題で吹き飛ばそうとするな!」

そもそもなぜ彼らがここにいるのか。
それはただ単に依頼の為。
少々やっかいな魔物がこの鍾乳洞に住み着いてしまったらしく退治の依頼が舞い込んできたのだ。

「他の奴に行かせればいいのに」
「厄介な能力を持ってるらしいから抜擢されたんだろうが」

レイナの我侭っぷりにとうとう頭を抱え込むコウリュウ。
まぁ、実際レイナがこうやって我侭を言うのは相手に心を許している証拠でもあるのだが。

「とりあえずさ、さっさと済ませようよ」

そんな2人を先ほどまで笑いながら見ていたシュウが促す。
学園を発ったのは午前中だったはずなのだが、途中寄り道をしたりして結構時間が経ってしまっている。
既に太陽も傾き始めているため早くしなければ帰りは夜になってしまうだろう。

「シュウ、火出して」
「はいはい」

腰に下げていたランタンを取り外しつつレイナが言う。
それに頷きシュウが何かの動作を起こす。

≪―――≫

掌を上に向け小さく何かを呟くと、小さな火が灯った。
その火をランタンに入れ灯りの用意は完了だ。

「ランタン、シュウが持ってて」
「OK」

言いつつシュウにランタンを渡す。
レイナは刀を得物として戦う為ランタンを持っていると動きにくい。
それはコウリュウにも当てはまるのだが。
シュウは後衛からのサポートが多いので、よくこうして灯り持ちをしているのだ。

「それじゃ、行くか」

その言葉を合図に、彼らは洞窟の奥へと入っていった。


◇◆◇◆◇


「ジメジメ…」
「だからそれは仕方ないことだってば」

彼らはただ今洞窟の奥へと進行中。
先頭にレイナとシュウ、その後ろにコウリュウが続く。

「んー、そろそろ開けた場所に出るんじゃないかな」

ランタンを掲げながらシュウが言う。
実際彼の言うとおりのようで、光の先に大きく開けた場所が見えてきた。

「2人とも注意しろよ?」
「言われなくても」
「はーい」

コウリュウの言葉にそれぞれ返事を返す。
レイナは腰に佩いた刀へ、シュウはチェーンに付いている鈴。
そしてコウリュウは左手に持っていた鞘に収まる剣へと手をかける。
広い空間へと近づくにつれ、彼らの緊張感は高まっていく。
何があってもすぐに対処できるように、不意を突かれないように。

「……気配は、7」

そう言ったのはレイナ。
鍔へとかけた親指でそれを持ち上げ、辺りの気配を伺う。

「気配はあるが姿が見えないか」

レイナと同じようにいつでも剣を抜けるようにしたコウリュウが言う。
気配は感じるが身を潜めているようで姿が見えない。

「………っ!」

と、レイナが突然後方へと飛び退る。
その直後、彼女のいた場所を襲ったのは黒い刃。
黒魔術を使った何かだろうそれは、深く地面を抉る。

「行く」
「……」

レイナとコウリュウはすぐさま得物を引き抜き、攻撃の飛んできた方へと駆ける。
彼らの先には、蠢くモノ。
アレがこの洞窟に住み着いたという魔物か。

「紅桜、発動」

レイナがそう言うと、白く輝く白刃が血を吸ったかのように赤く染まる。
赤い刃、それがこの紅桜の本当の姿。
魔武器のうちの一つであり最高傑作と称されている武器でもある。

「はぁっ!!」

その武器を構え、魔物へと一太刀入れる。
斬れたかと思われるそれはしかし、寸でのところでかわされたのか浅い。

「レイナ!」
「!!」

彼らが動いたことにより、身を潜めていた他の魔物たちも動き出した。
数匹の魔物がレイナへと襲い来る。
と、彼女と魔物たちの間に細い銀の輝き。
よくよく見ればそれは銀の糸。
それを辿ると先はシュウの持つ鈴に繋がっているようで。

「乗って!」

その言葉と共にレイナが張られた糸を足場に跳躍する。
一瞬遅れて魔物たちの刃が空を裂く。
高く跳躍したレイナは紅桜を構え…。

「裂破」

斬撃を繰り出した。
その斬撃は魔物たちの足元を抉る。
やはり空中では狙いを定めにくいようだ。
地に着地したレイナが魔物へと言葉を発したとの時。

「この洞窟から立ちs…」

ザパン!
魔物の1体が放った水属性の技が見事レイナに当たる。

「・・・…」
「あーぁ…」

その様を見ていたシュウとコウリュウは「やってしまったな」を言うような顔をして後ずさる。
水を被ったレイナはと言うと・・・。

「…っの!!」

周囲の空気がピリピリと肌に刺す。
元々不機嫌だった所に水をかけられ完全に頭にきたのか。
そしておもむろに空いている片手を上げたかと思うと。

≪氷柱結縛≫

その言葉と共に洞窟の温度が下がり、魔物たちが氷柱の中に閉じ込められた。

「うっわ、見事に凍ってる」
「またそんな荒業…」

見慣れているといえば見慣れている光景ではあるが…。
機嫌が悪い時は相変わらずの荒業。
洞窟を吹き飛ばされなかっただけマシと言った方がいいのか。
てかこれ、俺たち出番ないよな…と、2人は顔を見合わせる。
本当はもう少し穏便に済ませたかったのだが。


◇◆◇◆◇


「で、結局魔物たちは凍らせちゃったと?」
「(こくん)」

ここはエリアル学園にある学園長室。
あの後彼らは氷漬けの魔物たちを洞窟から運び出すと報告のために学園へと戻ってきていた。

「その氷漬けの魔物たちは?」
「一応、他の魔物に引き渡しました」
「そっか」

なら大丈夫かな、と学園長はあくまで暢気。

「何はともあれ無事でよかったよ」
「ははは…」

頼むから今度から洞窟絡みの依頼は勘弁して欲しいと思う彼らなのだが。
果たしてその願いが叶うのかは怪しいところ……。







話し長く…。
そして不完全燃焼っぽい。

レイナちゃんはジメジメが嫌いです。
私もジメジメは嫌いw(笑

そしてレイナちゃんは吹き飛ばしたいとか言ってるけどやりませんよ。
ダメって言われたらやらない子です。
OKって言われたら盛大にやるけど。(爆
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