Dramatic Record ~世界かはたまた箱庭か~ Dramatic Record 本棚 2012年04月27日 それは正しく空前絶後。 長い歴史を刻む世界において、これほどの力を有した者は未だかつて居なかった。 それは正しく前代未聞。 長い歴史を持つ学園において、こんなことをしでかした者は未だかつて居なかった。 それは、伝説となり語り継がれる。 彼らが紡ぐ、物語。 ***** 青い空を背にしてそびえ立つ、歴史を感じさせる建造物。 広大な敷地を有し建物自体もその広さに見合った大きさのそこは、複雑に入り組んだ内部によって慣れ親しんだ者さえ迷わせることのある一種の迷宮。 常ならば千を超す人数が集まり生活し学ぶ、ここはエリアル学園。 しかし本日は、とある事情により普段よりも格段に少ない人数しか集まってはいなかった。 「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。私たち在校生一同は、みなさんの入学を心から歓迎いたします。」 そう、本日はエリアル学園の入学式。 講堂内には教師や在校生の一部、そして真新しい制服に身を包む新入生の姿がある。 新入生の多くはこれから始まる学園生活への期待で顔を輝かせ、実に微笑ましいものだ。 入学式は既に新入生入場から新入生呼称・認定、学園長の祝辞を経て在校生代表の祝辞へと移っている。 在校生代表――この学園においてある程度の権力を有する生徒会長は、舞台の上から新入生一同を見渡しつつ、淀みなく祝辞を述べていく。 「以上を持ちまして、私からの歓迎の言葉とさせていただきます。」 生徒会長は、学園生活にいくらかの普段を抱いているであろう新入生を支援する言葉を織り交ぜた祝辞を述べると、そう締めくくった。 マイクから一歩下がり綺麗にお辞儀をして、舞台を後にする。 「それでは次に、新入生代表にご挨拶していただきます。」 生徒会長が席に着いたのを確認した司会進行役がそう促す。 しかし。 本来ならここで立ち上がるべきはずの新入生が、居ない。 本来なら最前列に居るはずと誰もが目を向けるが立ち上がる生徒の姿はなく、それでは他の列にいるのかと後方へ視線を移すがやはりどこにもその姿はなかった。 いったいこれはどういうことなのか。 徐々に困惑のざわめきが講堂内に満ちていく。 そして誰もが出した結論は一つ。 ふけたのだ。 これには教師在校生は無論、新入生一同も驚愕である。 創立数百年は経つこのエリアル学園入学式において、新入生代表の宣誓をふけた者などいない。 代表を務めるという事はつまり、入学試験において最も優秀な成績を出した者ということなのだから。 優秀なのに非常識極まりない事をしでかした人物とはいったいどんな人なのか。 式場に居る者はみな、思い思いに想像を巡らせる。 そんな彼らを余所に頭を抱え呻く者たちが居た事に、様々な想像をする大多数の人たちが気付くことはなかった。 ***** 「レイナー、どこ行ったー?」 所変わって此処は勉学塔の渡り廊下付近。 今学園にいる者はみな講堂に集まっている時間にもかかわらず、そこには一人の男子生徒の姿。 まだ新しい制服であることを見ると恐らく新入生なのだろう。 そんな男子生徒は周囲を見渡しつつレイナという名の誰かを探しているらしい。 しきりに周囲を見渡す男子生徒は廊下から少しばかり外れた場所、周囲に活けられた木々の間に何か見るけたようで、小走りに駆けて行く。 そうして進んだ先には淡く輝く長い金糸を高い位置でひとまとめにした女子生徒の姿。 男子生徒同様真新しい制服に身を包んだ彼女は彼に背を向けた状態で立ちすくんでいる。 「レイナ、何やってるんだよ。式場に戻ろう」 「シュウ」 男子生徒――木漏れ日を受け角度によって様々な色に染められている銀糸と、少しの不満を滲ませつつも根底には穏やかな色を宿した紫電の瞳の少年、シュウは見つけた彼女にそう声をかける。 声をかけられた金色の女子生徒はその声に答えるように彼の名前を呼びつつ振り返った。 そこには蒼穹を切り取ったかのようなどこまでも澄み渡った蒼を湛える双眸。 ドレスを纏えば見る者を惹き込ませるのではないかと思わせる容姿を持つ彼女は、シュウの姿を見止めてふとその瞳に喜色の色を浮かべた。 「どうした?」 「ん、ちょっと…ここは、色んな“声”が聞こえるなって。少し、嬉しくなった」 「そっか」 レイナが瞳に乗せた色に気づいたシュウが問うと、彼女はそう答えた。 抽象的なそれは傍から聞けば何を言っているのか意味は通じないだろう。 しかし彼女の事を知っている者ならば、彼女の言葉が何を指しているのかすぐにわかる。 「たしかに、ここは多いな。人の数もそれなりに多いけど、それ以外の存在も」 「うん。これからの生活が楽しみ、かな」 「それはよかった」 シュウもまた何かを感じ取っているようで、レイナが先ほどまで見ていた方に視線をやる。 その先に見えるものはいないが、たしかに彼らは視て感じていた。 しばらくそうしていた二人であったが、それを断ち切ったのはシュウであった。 「それより。レイナ戻るぞ。式はとっくに始まってるんだ」 「えー…」 シュウが再び戻ることを促すと、レイナはあからさまに不満げな表情と声をする。 心底嫌そうな顔ではあるがこれは決められている事なのだからとシュウはいうと、レイナの腕を取り元来た道を戻り始めた。 腕を引かれているレイナは不満げな様子とは裏腹にちゃんと従ってくれるつもりの様で、大人しくされるがままであった。 ***** あの後、シュウとレイナは迷宮のような学園の敷地に若干迷子になりつつもなんとか入学式の会場である行動に辿り着いた。 そろりと会場に入った二人であったが、彼らの姿に気づいた教員に詰め寄られたのは言うまでもない。 そしてそのままレイナは席に、シュウは壇上へと連れて行かれる。 どうやら数分の騒ぎだったようで、シュウは内心ほっと胸を撫で下ろしながらも新入生宣誓をやり遂げた。 この後の説教に若干の憂鬱はあったが。 果たして入学式後、顔見知りの教員からたっぷりこってり二人揃って説教されたのは言うまでもない。 待っていた人なんていない半年振りのドラレコ。 ようやく二人がエリアル学園に入学して物語も本格的に動き出したなぁ。 この後は二人が生徒会に入る話とか学園のシステムとか色々書きたい。 気が向いたら。 そして簡単な入学についてのメモ。 この学園は魔法関連の教育を主としているため入学方法もちょっと特殊。 先ず入学条件は魔力を有し、自身で体内生成できる事。 でないと話にならないし。 次にエリアル学園の入学試験。 これは入学の時点でどれだけの力量、知識を持っているかを測るため。 この時の成績によって入学時点でのクラスが分かれる。 基本的には所属する学科に必要不必要関係なくほとんどの教科の試験をする。 これは全15教科あるなかで自分で取りたい教科を好きに選べるから。 所属学科によっては必須の教科も有るけど。 ちなみに国史や国語、普通の算数や数学などが無いのはエリアル学園が魔法を学ぶための学校だから。 基本的な勉強は入学までの年に普通学校である程度学べるから。 体育があるのは体力=魔力に繋がってるからなんだよ! 「ほとんどの教科」ってのは細工、裁縫、武匠、科学の教科は専門家専用の教科で、 その学科に所属する生徒だけが試験を受けるから。 そんな感じの設定メモ。 更に入学時点の二人の成績も考えとこうか自分。 ●教科名 レイナ シュウ ・体育 A C+ ・礼儀 A- S ・言語 B- A- ・世界史 B+ B+ ・数学1 B+ A ・数学2 ― ― (入学した翌年から選択できる教科) ・体術 A+ B- ・武術 A+ B+ ・薬草 B B- ・医学 A A ・魔法 S A+ ちなみに本当は上みたいな感じでレイナの方が成績良い。 でもシュウが代表なのはレイナが凄い勢いで拒否したからという裏設定。PR