Dramatic Record ~Part 66~ 古びた書物の本棚 2010年12月23日 「あー、やっぱお前ら卒業するのか」 今年度卒業予定者の一覧を見たファゼはその中によく知る人物の名前を見つけて声を上げた。 その人物―――レイナとシュウは今現在年末に向けて生徒会としての仕事に追われている。 「卒業するだろうとは思っていましたが本当に卒業する気ですのね」 「まだ在学年数あるのになー」 「ねー」 ファゼの横から彼の手にある一覧を見たエミリアの言葉に2人は揃って不満そうにしている。 「俺は別にいてもいいんだが…」 そんなファゼとエミリアの様子にシュウは作業の手を止め言葉と共に自身の隣で作業するレイナを見やる。 当のレイナはというと、我関せずといったようにひたすら書類と格闘していた。 「シュウ、お前止めろよ」 「そうですわ」 「………止められるならやってるよ」 「あぁ…」 シュウの言葉に2人は誰もレイナを止められないのだと思いだした。 それと共に無言でシュウの肩を叩く。 間違いなくかかあ天下になるだろうから。 「本当に何もしてねぇの?」 「……一応」 「止めてはみましたのね」 「………」 「…あぁ」 その際壮絶なやり合いがあったことはここだけに記しておく。 「そういえば」 ふと何か思いついたようにエミリアが声を上げる。 「2人は卒業したらどうしますの?」 「あ、俺もそれ気になる」 興味があるようで2人の目は輝いている。 それを見て取ったシュウは困ったように苦笑する。 「とりあえず俺は実家に戻ってしばらくの間は父さんの仕事の手伝いかな」 一度経験しとけって決定されて…と変わらず苦笑したまま言う。 「俺ってお前の親父さんが何やってるのか詳しくは知らないんだけど」 「わたくしもですわ。地位が高いというくらいしか」 それは過去にエミリアとの縁談話が上がったことでもどれくらいの地位があるのか、大体の予想はつく。 「それは、ヒミツかな」 「ここまで来てそれを言うか」 こうなれば何としてでも聞き出してやろうと意気込みを見せるファゼと話す気はなさそうなシュウの2人を「それで」とエミリアが遮った。 「レイナはどうしますの?」 「あー…レイナはまだ決めてないみたい」 「え、決まってないのか?」 思いもしなかったシュウの言葉にエミリアとファゼは驚きで目を丸くしている。 「まだ決めていないからこそ教師たちも躍起になってるんだと思うけど…」 「卒業後の事なら決めたわよ」 3人が話していると横合いからレイナが会話に入ってきた。 「え、俺聞いてないけど!?」 「あら、決まっていましたの」 「何にしたんだ?」 エミリアとファゼは当然のことながらシュウも知らなかったことに三者三様の反応が返ってくる。 「そりゃ言ってないもの。ちなみに決まったのは3日前よ。しばらくは学園経由で依頼を受けて、いづれは独立して仕事をするつもり」 クツクツとレイナは笑い、一つ一つ彼らの言葉に返していく。 「……それって卒業する必要ないんじゃ」 学園にいるのと変わりないだろうと尋ねるが、当の本人は「そうでもない」と笑いながら続ける。 「依頼の伝達は基本的に式だし、自分で依頼を選ぶこともできる。もちろん将来は客もね。まぁ、その分情報収集や交渉は自分でしなくちゃならないから大変な面もあるけど。それを差し引いても自分で依頼を選べるのは良いし、今みたいにこんな書類をする必要はない。何より学園長の顔を見なくて済む」 「(それが理由か!!)」 最後の一言に3人の心が一つになった。 何とも彼女らしい理由である。 「さて、と。私の分の書類整理は終わったから、残りは頑張りなさいよ。私はまだ詳細の話し合いが残ってるからこの書類出すついでに話してくるわ」 これ、と言って脇に抱えた書類の束を見せるとそのまま部屋を出て行った。 「シュウ」 「何」 「……落ち込むんじゃありませんわよ」 「……おう」 ~おまけ~ 「なぁレイナ」 「何よ」 「本っっっ当に卒業するのか?」 「嫌ならいなさいよ」 「……」 「てか、あんたが嫌がってるのは旦那様に仕事手伝えって言われたからでしょ」 「……(フイと目線逸らし)あれ、面倒だしバレる。てかなんでレイナはそんなに学園長嫌いなんだよ」 「……(にっこり)」 「(あ、地雷踏んだっ)」 「シュウ」 「…はい」 「ちょっと表出な。喧嘩だ」 「うえええええ!!?」 当然シュウは惨敗。 (一時的に)別の道を歩むことになった女帝とヘタレ。 女帝があの道を選んだのは学園に対する最大の譲歩。 ちなみに情報収集は面倒だけど便利な子がいるので簡単。(←PR