Play10 生体記録 2012年07月23日 俺がライモンシティに到着して早2週間。 オレはこの間リトルコートやビッグスタジアムに行ってはトレーナーと戦い、手持ちのレベルを上げたりしていた。 このライモンシティは不夜城ともいえる場所で、ネオンの消えることのない街だ。 娯楽施設の多く立ち並ぶ通りを抜けて、オレは一つの建物の前まで来た。 この建物は、ギアステーション。 何でも廃人と呼ばれる人たちが集まるバトル施設なんだとか。 廃人って、あの廃人だろうか。 ちょっと怖い気もするが、興味が湧いたのだから行ってみたいと思うのは人の性だろう。 そして辿り着いたギアステーションでは、入り口に誰かが立っている様だった。 「わ、わ、凄い!」 「…?」 こちらに背を向けているお団子頭の女の子が、なにやら興奮した様子ではしゃいでいる。 「こんなところにサブウェイマスターがいるなんて!ギアステーションで一番強いトレーナー!」 凄い凄いとはしゃいでいたその女の子は、さっきまで興奮したように飛び跳ねていた体をピタリと止めた。 すると突然こちらにくるりと向き直り、オレに詰め寄ってくる。 「あのねあのね!2vs2なら特別にバトルしてくれるんだって!」 「へ…?」 「だから私と一緒にバトルしてよ!」 急に詰め寄られそう誘われたオレは、その勢いに思わずYESと答えていた。 「やった!ありがと!ってことでサブウェイマスターさん、挑ませてもらいます!」 「本来このような場所での勝負はイレギュラーですが、これも何かの縁。戦う事でみえることもあるでしょう。ではクダリ、何かありましたらどうぞ」 「ルールを守って安全運転!目指すは勝利!出発進行!」 そのまま再び前を向いた彼女、メイという名の少女はサブウェイマスターへと勝負を挑む。 彼女の目前、同じデザインの白と黒の色違いのコートをまとう男性二人は、口上を述べると互いのボールを手に取った。 「ラグーン、お前の初陣だよ。頑張ろう」 「ぎゅううう!」 最近手持ちとしてやってきたモノズの頭を撫でて、バトルフィールドへと送り出してやる。 ラグーンは元気に鳴き声を上げると、やる気満々でフィールドへと出て行った。 ***** 「ブラボー!あなた方のバトル見せていただきましたよ!ですが一言。あなた方はまだ上を目指せます!」 「ボククダリ!ノボリと一緒に負けちゃった。君たちのコンビネーション最高!ものすごく強いトレーナー!」 はい、これお小遣い。 そう言ってバトル報酬を貰ったのだけど…。 「あの、すみません…」 そう言ってそっと目線を逸らしながら、オレはラグーンの首にかかるソレを示した。 「えー…お二人とも、次は是非ともこの地下鉄で、電車に乗ってバトルをいたしましょう」 「ボクたちいつでも待ってるよ!」 2人はラグーンの首にかかるソレ、お守り小判を見ると顔を引くつかせ最初のお小遣いの倍額を支払ってくれた。 なんというか、申し訳ないです…。 そしてお小遣いを渡し終えたサブウェイマスターの二人は、彼らの支配する地下の世界へと帰って行った。 「すごかった…!さすがサブウェイマスター!もっと鍛えていつか本気のサブウェイマスターと戦いたい!ありがとね!えーっと…」 「シオン。オレはシオンだよ」 「シオン!これは気持ちよ、受け取って!」 メイはそう言って、オレにバトルレコーダーを渡してきた。 どうもこれはバトルの様子を記録できる媒体らしい。 使い道はそれなりに有りそうだ。 「シオン、あなたと一緒に戦うのとても面白かったよ!また付き合ってくれると嬉しいな」 じゃーね!と言い残して、彼女もまたギアステーションへと姿を消した。 ***** 「さてと、オレタチはどうしようか?」 サブウェイマスターの2人とメイが立ち去った地上で、オレは次にどうしようかと考える。 きょろきょろと視線を彷徨わせたオレの目に映ったのは、大きな観覧車。 そういえば、まだあそこには行っていなかったのだと思いだす。 たしかあそこにはライモンジムがあるのだ。 いい加減行かなければいけないと思い、オレは観覧車の見えるエリアへと足を向ける。 『そう言えばマスター』 「うん?」 『ここのジムリーダーはどんな方なのでしょうか』 「このライモンシティのジムリーダーはカミツレさんっていって、イッシュのトップモデルなんだ」 『トップモデル?』 「あ、判んないか。なんて言ったらいいかなー…とっても有名な人、とでも言えばいいかな?」 『うーん…凄い人、ということはわかりました』 まだ生まれてそれ程経っていないから、よく判らないのだろう。 オレは「それだけでも判ればいいよ」と言ってリイヤの頭をなでてやる。 しばらくして、オレ達はライモンジムのある遊園地へと到着した。 リイヤは初めて見る光景に心なしかわくわくしているようだ。 そのまま入り口でパンフレットを貰い、ジムがある奥を目指す。 そして辿り着いたジムの入り口には誰か人が立っているようで、誰だろうかと首を傾げながら近づいてみることにした。 「やあ、君か!」 「あ、ガイドーさん」 そこにいたのは、各地でジムの案内をしているガイドーさんだ。 お久しぶりです、と挨拶をするとガイドーさんが今ここにカミツレさんはいないと教えられた。 どうやらここに来る途中にあった旧ライモンジムにいるらしい。 カミツレさんとバトルするためにも、オレ達はその建物へと一度引き返すことにした。 「なんで、ジェットコースター…」 引き返して辿り着いた旧ライモンジム。 その内装はというと、ジェットコースターであった。 おれ、あんまり得意じゃないんだけど…。 旧ライモンジムの入り口に立っていた男性の話によると、カミツレさんはここの奥にいるらしい。 つまりはこのジェットコースターを乗り越えて行けと。 無理だ、絶対無理。 あ、ちょ、やめてリイヤ本当に無理だって俺は乗れないからあああああ! 立ち尽くしても意味がないと、オレは容赦なくリイヤに引きずられ目の前に丁度到着したジェットコースターへと載せられた。 出発したジェットコースターはオレの情けない悲鳴を尾にし、走り去る。 入り口に立っていた男性がポケモンに無理やり乗せられ悲鳴を上げて去って行くオレを憐れそうに見ていたことは、オレ達の知らない事だ。 「で、なんでトレーナーが居るんだよ!」 『それはやはり、旧事務だからではないでしょうか』 「正論をありがとうリイヤでもオレの言いたい事はそれじゃなくてっ!」 旧ジムの奥に進むと現れたトレーナー。 彼らに圧勝したオレは、思わず叫び声を上げる。 だってそうだろうテンション高く話しかけてきたと思ったら突然バトルになるだなんて誰も予想していない。 しかもデジャブすぎる。 だらだら文句を垂れ流しつつ奥へと到着したオレは、周囲を見渡す。 しかしどこにもカミツレさんらしい姿が見えない。 何故だろうと思っていたら、照明の奥、他より暗がりとなっている場所から一人の女性が姿を現した。 「ここにカミツレさんはいないわよ」 「え、それじゃ」 『入れ違いというやつですね』 せっかく嫌いなジェットコースターに乗ってきたのに、目的の人物はもう既に帰った後の様だった。 仕方ないかとオレ達は入り口直通のジェットコースターに乗って来た道を戻る。 そして戻ってきた現ライモンジムに、オレは足を踏み入れた。PR