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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Play9

心の準備(笑)をしたオレは、彼が待つと言った4番道路へ歩みを進めている。
だって、誰でもさっきまで普通に?話していた人がバトルを仕掛けてきたら驚くと思うんだ。
オレは悪くないオレは悪くない。

そうしてゲートを超えた先、4番道路を進んでいるといつもの様にトレーナーに捕まってしまいなかなかさきに進めない。
おまけに良いかm…違った、何度も挑んでくるトレーナーがいるものだから、ついつい律儀にその度にバトルをしてしまい、気付いたら何日も経ってしまっていた。

さすがにこれは不味いと慌てて道路の先へと進む。
確実にというか、ヒュウ兄の二の舞をやらかしてしまって非常に気まずい。

「待ってましたよ!」

進んだ先にはやはりというか、砂まみれになったアクロマさんの姿。
まさかとは思うがこの一週間近くこの人はずっとここにいたのだろうか。
砂まみれとなっているアクロマさんのかおは怖いくらいの形相となり、申し訳ない気持ちしか浮かんでこない。

同じことをもう繰り返さないかと聞かれたら、断言できる自信はないけど…。

「どうしました?私の後ろが気になりますか」
「いえ…あの…」
「これは岩ではなくイワパレスというポケモンです」

アクロマさんは気まずそうにしているオレに構わず話を進める。
なんというか、大人な対応だ。
絶対怒られると思っていたのに。

「見てください。私が作ったポケモンを活性化させる装置で…」

そのままオレをスルーしてイワパレスに近づいたアクロマさんは、道路の真ん中にうずくまっていたイワパレスに何かの薬品をかけている。
するとさっきまでピクリともしなかったイワパレスがむくりと起き上がったかと思うと、向きを変えて道路の奥へと消えていった。

「…イワパレスたち、岩を背負ったままここで力尽きたのでしょうか?」
「珍しい、ですね。野生のポケモンが、人通りが少ないとはいえ道路の真ん中でなんて」

オレも同じように道路の奥を見やる。
野生のポケモンは警戒心も強いし、普段はこんなところに居ないのだけど。

「さて…彼のプラズマ団は言いました」
「…?」
「ポケモンの持つ可能性を認め、人間から解放すべきだと。しかし、わたくしはそうは思いません!むしろ人間はポケモンが秘めている能力を引き出すべきなのです!」

突然語りだしたアクロマさんは、なんだか一人テンションが高くなっている。
自分の好きな事だからだろうか、目も子供みたいにキラキラしている。
以前会った時と一緒だ。

「そういえば、あなたの名前を聞いていませんでしたね」
「え、ああ…オレはシオンです。ヒオウギシティのシオン」
「シオンさんですか。その名前、憶えておきましょう!」
「ありがとう、ございます?」
「ではあなたがポケモンの力を引き出せるトレーナーか確かめます!」
「はい」
「今度は断らないで下さいよ!もう砂まみれになって待つのはごめんですので!」
「いやあの、この前は唐突過ぎてびっくりしただけですから!今回はちゃんと受けますって!あとごめんなさい!」

やっぱり根に持っていたらしい。
そりゃ砂漠に約1週間だもんな。
うん、後でもう一度謝ろう。

そう心に決めつつ、オレはモンスターボールを宙へ放る。


*****


「なるほど!」

アクロマさんとのバトルを終えての彼の第一声。
新しい事でも発見したかのように、アクロマさんの声が弾んでいる。

「あなたは各地のジムリーダーたち、あるいはポケモンリーグにいる四天王とチャンピオンのようにポケモンを大切にすることでその強さを導き出す。そういったタイプの人たちに似ているようですね」
「うーん、ポケモンの強さ云々は判らないですけど、大切にしてるのは確かですよ」
「ふふ、あなたは意識していなくとも、あなたのポケモンはあなたのその気持ちによってたしかに強さを引き出されている。恩に着ます。これはお礼ですので受けとってください」
「あ、ありがとうございます」

オレはお礼と言って渡されたタウリンを受け取る。
初めてじゃないだろうか、こうやってちゃんと渡してくれた人って。
研究の事となると少々着いて行きにくい感じの人だけど、根は真面目でいい人なのかもしれない。

「ああ、それにしても悔しいです!ポケモンの能力を引き出す、そのためにポケモンと会話できればいいのですが!しかし…そのような人間が世界にいるわけがない…」
「……」

これは、間違いなく確実に言わない方がいい…よね?
オレがポケモンと会話できるなんて知られたら、なんだか研究対象にされてしまいそうだ。
それにしても本当に悔しそうな顔をしてるな、この人。

「それではシオンさん、またお会いしましょう。今日は本当にありがとうございました」
「い、いえ…お役にたてたのならそれで…」

そうして去っていくアクロマさんを見送ったオレは、途中リゾートデザートと古代の城に寄り道をしていよいよ次の街、ライモンシティ方面へと進む。
高速道路の下を通り真っ直ぐ進むと、ジョインアベニューという場所に辿り着いた。
中に入ってみると数人の男女が集まって何やら話し込んでいるようだ。

「うーん、困ったな…ボクも忙しいし…」
「ですよね。いったい…どうしましょうか」
「「!」」
「ちょっと君!」
「え、オレですか?」
「そうだよ君だよ!ジョインアベニューへようこそ!とは言っても、ご覧の通り今は何にもないただのストリートだけど」
「はあ…」

たしかに、通りの左右を見ても何もない。
建物も見受けられるが人の姿はオレの目の前にいる男女くらいのものだ。

「おっと、失礼!申し遅れたね、僕はこのジョインアベニューのオーナーなんだ。マイドリームは多くの人で賑わう街を世界中につくる事!でも…ここを管理する人が来れなくて困ってるんだよね」
「そうなんですか。それはお気の毒に」

世界中に街をつくる、なんだかすごい話だな。
でも今この人が言ったみたいに管理する人が居ないとどうにもならないだろうに。
おまけにここは砂漠地帯。
管理する人が居てもちゃんと町として機能するのだろうか?

「しかし僕はビビッと来た!」

そんなことをぼんやり考えていると、オレの顔をジッと見つめていたオーナーさんはカッと目を見開いたかと思うとズズイとオレに詰め寄りそう言った。
ちょ、顔近いですってか怖いですその見開いた目!

「君は見たところトレーナーで各地を巡っているね?」
「ええ、ジムバッジを集めてますけど…それが何か?」

やんわりと距離を取るように自身の前に腕を出すとオーナーさんは大人しく後ろに引き下がってくれた。
よかった、あのまま詰め寄られてたら逃げ出しかねない。
それくらいの迫力があった。
そして彼を引き離すと同時に彼の質問に答える。
正直、またもや嫌な予感しかしないのだけれど。

「そこでだ!色んな人と出会える君に頼みたいことがあるんだが…」
「あー、お断りは…?」
「残念だがないよ!で、君、ここの管理をやってみないかい?というかやってくれるね?」
「はい…」

案の定というかなんというか、オレはここの管理を任されてしまった。
拒否権なしって、まだ10代前半のオレにちゃんと管理ができるのか疑問だ。

「ありがとう!それじゃ、きみという人間を教えてくれないかい。世界のみんなに教えたい口癖は?」
「口癖…ですか」
「そう、なんでもいいよ。ただし、この口癖は世界中の人に知られるから、慎重にね?」
「うえ!?」

世界中って、まじですか。
うう、口癖か…

「えーっと…『なるようになる』かな?」
「なるほど!じゃあ、思わず感動した時はなんて言う?初めて会う人にも伝わるグローバルなセリフでよろしく!」
「こ、今度はグローバル…」

うーん…感動した時か。
感動した時、感動した時…

「す、『すっげー!』…かな」
「ほうほう……うん!思った通りだ!君しかいない!君以外に有り得ない!」

一体何が思った通りなのか今一よく判らないが、何かとりあえずオレの回答はオーナーさんの満足いくものだったらしい。

「あ、オーナー!そろそろ次のお仕事のお時間ですが…」
「おっと、そうだった。秘書たちよ、そういう事だから後の事はよろしくー」
「はい、行ってらっしゃいませ」

オーナーさんはそういうと、OL風の女性(秘書だろう)を連れて此処、ジョインアベニューを去って行った。

「いったい、なんだったんだ…」
「さて、と…」

オレがオーナーさんたちの去って行ったほうを見つめそう呟くと、背後から女性の声が聞こえてくる。
その声に再び正面を向いたオレの目の前には、エリートトレーナーのような恰好をした1組の男女。

「はじめまして、あなたの事を何とお呼びすればよいでしょう?」
「あ、普通にシオンさんでいいですよ…?」
「シオンさんですね。あなたはこの町の責任者です。まだ何もないこの街をたくさんの人が行きかう素敵なアベニューにしてください」
「は、はい」
「街を発展させる方法はこれから説明します」

そう言って女性の方がまだ何も知らないオレに色々と教えてくれた。

1.人を呼ぶためには便利で役立つ施設をつくるのがいい
2.人を招待してみる

ということで、早速アベニューに来た人を招待してお店を出してもらった。
そうやらポケモンのレベルを上げたり能力の基礎値を上げるお店らしい。

「おめでとうございます!立派なお店が立ちましたね!」
「そう、ですかね…?」
「しかし、お店を作ってもお客様が来なければ意味がありません。」

3.お客様にお店を紹介する
4.アベニューに来た人に話しかけて案内をする

先程同様アベニューに来てくれた人を、今度は客として出展されているお店に案内した。
するとどうやらお店の人気度というものが上がったらしい。

2人はその後簡単に他の事を説明するとオレのオフィスだという建物へと去って行った。
それを見送ってからオレは(完全に放置をする気はないけど)アベニューは後回しといった感じに通りを抜けて、いよいよライモンシティへと到着した。
ライモンジムのジムリーダーに勝てば残るバッジは4つとなる。

次も頑張るぞと気合を入れて、夜も遅いからと一先ずポケモンセンターへと向かうことにした。

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