Play8 生体記録 2012年06月29日 私用で4日間ほど帰省していたオレ。 何をしていたかって? 新しいポケモンを貰ってレベル上げたりしてました。 そんなわけで新しい仲間を紹介します エイパムのシィマ、♂。 特性ものひろいで色々な道具を持ってくるいい子です。 『マスター、そんなこと一人でぶつぶつ言ってる場合じゃないと思います』 オレが独り言を言って現実逃避をしていると、リイヤがそう声をかけてきた。 せっかく現実逃避していたのに、ってそんな場合では実はなくて。 「おっまえ4日間もどこで何してたー!」 「いや、ちょっと、色々と…てか気持ちわるっ…」 「うわちょ、吐くなよ!?」 オレが帰省している間下水道で一人待たされていたヒュウ兄に胸元掴まれガクガクと揺さぶられている現状です。 下水の臭いと相まって気分が悪く…あ、ちょっと本気でまずい。 オレがさらに顔色を悪くした時点でヒュウ兄はようやくオレを離してくれた。 いや助かった、本当に。 「ったく。シオン!お前には強くなってもらう!」 「え、急に何?」 「さすがにオレ一人でアイツらとやり合うのはキツイからな……」 どうやらオレは幼馴染のよしみ?でなにかに協力することが決定しているらしい。 もっとも、その“何か”がなんなのか、大体の予想はつくのだけれど。 「大丈夫だ、安心しろ!ポケモンは俺が回復してやるからな!」 「え、あ…ありがとう?」 「それじゃ、プラズマ団を探すぜ!」 「う、ん…」 最初から目的はそれだったわけで、つまりは一緒にプラズマ団を探し出してボコるというわけだ。 なんだか旅に出てからヒュウ兄の知らなかった一面をたくさん見ている気がする。 そんな事を考えながら、オレはヒュウ兄に急かされるようにして下水道の奥を目指した。 ***** あれから数時間、オレはまたヒュウ兄に「探す気有るのか!?」と揺すぶられる羽目になった。 失礼な、強くなれって言ったのはヒュウ兄なのに。 だからこそ俺はさきに進まず入り口付近でひたすら手持ちのレベルを上げていたのだ。 ちなみに現在は全員レベル20以上だ。 頑張ったと思うがまだ上げたりない。 しかしヒュウ兄もいい加減先に進みたいようで、一先ず集中してレベルを上げるのはこの辺でいいだろうとさきに進むことにした。 そして初めから怪しそうだと踏んでいた区画へと足を踏み入れる。 そこには、予想通りとでも言おうかプラズマ団が居た。 人数は2人。 「おい!」 ヒュウ兄がいきなり大声で呼びかける。 相手も驚いたようだが、隣にいた俺もびっくりした。 ヒュウ兄ってば本当に元気だ。 「なんだ?おまえら」 「……プラズマ団、この悪党ども」 このプラズマ団員はタチワキシティに居た奴らとは別人なのだろうか。 どうやら俺たちの事を知らないらしい。 そうこうしている間にプラズマ団はポケモンを繰り出してきて、バトルとなった。 こちらも相手も2人ずつで、マルチバトルをするようだ。 オレは手持ちの先頭にしていた雨調(あまつき)を繰り出す。 「雨調、メグロコに熱湯!」 メグロコは地面タイプだから、水タイプの熱湯はひとたまりもない。 メグロコはあっけなく戦闘不能となった。 もうひとりのプラズマ団のズルッグも呆気なく倒される。 「あ、賞金は倍額で」 「鬼!」 勝ったオレたちは雨調の首に下げられたお守り小判をちらつかせしっかり賞金を頂きました。 まだまだ駆け出しだからお小遣いが足りないんです。 ありがとう。 「くっそ、こいつら強いな!」 「ああ、それに鬼だ!」 「うん、最後のそれは必要ないよね?」 「ま、まあいい!必要なポケモンは手に入れた!ここは引き上げるぞ!」 「おう!」 いくらか動揺していたようだが、さすがとでもいうべきか。 彼らはしっかり引き際も覚えているようで、またもや逃げられてしまった。 逃げ足だけは本当に早い。 「っく、また逃げたか!逃げ足だけは本当に早いな!シオン、まだ奥に居るかもしれない。探すぞ!」 「うん」 そうして俺たちは下水道のさらに奥を目指そうと体を反転させたところで。 「君たち、その必要はないっぽいよ」 何処からともなく声が聞こえた。 「「!」」 オレたちが目指そうとした下水道の奥、そこから一人の男性がやってくる。 茶色のムディアムヘアに緑の服と赤いマフラー。 この奇抜ともいえる服装の男性は…。 「もしかして、ジムリーダーのアーティさん?」 「うん、そーだよー。ボク、アーティ」 さきにその正体に気づいたらしいヒュウ兄の問いかけに、アーティさんはなんとも気軽く答えてくれた。 アーティストってみんなこんな感じなのだろうか? 「でね、この先だけど、怪しい人はいなかったよ」 「そうなのか…?」 「そうだよー。ボクさっきまでこの奥にいたからね」 でも、プラズマ団についてはボクも警戒しておくよ。 そう言ったアーティさんの顔は、やはりジムリーダーらしくキリッとしていた。 それ以外はなんだかちょっと気のに抜けたような顔だったのに。 「それよりもここから出ない?下水道ってなんだかムシムシするからね」 「そうだな。さすがに4日以上下水道にいたら臭いも移るし気も滅入るし…なぁ?シオン」 「………」 「何かあったのかい?」 「いえ、なんでもないです」 まだ根に持っているらしいヒュウ兄は、笑顔なのに全く笑っていない目でもってオレを見てきた。 さすがにオレは何も言えず沈黙するしかなかったのだが。 そんなオレたちの遣り取りを不思議に思ったのか首を傾げたアーティさんを促し、オレたちは下水道を出ることに。 ヒュウ兄はオレに手伝ってくれてありがとうと言うと秘伝マシン「かいりき」を渡すとさっさと行ってしまった。 余程耐えかねるらしい。 オレたちも下水道を出ようとすると、またもや奥から声がする。 「そこの君!プラズマ団相手にパートナーのポケモンの能力を引き出した見事な戦いぶりでしたね!」 「は、はあ…」 「いい!すばらしくいい!そして面白い!なるほどです」 「……?」 「今の、誰?」 「さあ…?」 またもや変な人と遭遇してしまった。 どうしてこうオレの周囲には変な人が多いのか。 さっぱり謎だ。 「まあいいや。君はどうするの?ここでこのままポケモンを鍛えるも良し、ボクに挑戦するのもいいかもね」 そういうと、アーティさんはじゃあねと言って去っていった。 オレはここの奥に少し興味があるし、レベル上げも兼ねてもう少し進んでみようと思う。 回復薬は生憎あまり持っていないから程々の所で。 もうちょっと付き合ってくれ、と腰に下げたボールに向かって言うと、相棒たちは答えるようにボールを揺らした。 ***** すっかり夜も更けたころ。 オレはようやく下水道から出てきた。 あの後ひたすら下水道で手持ちのレベルを上げること数時間。 ずっと下水道の奥の洞窟でレベル上げに勤しんでいたおかげで、みんなのレベルもそれなりに上がった。 あとはジムでレベルを上げればいいだろうとオレはポケモンセンターによってからジムへと向かうことにした。 「で、このジムのこれはどういうこと?」 『繭、ですね』 『よく燃えそうだなー』 「……燃やすなよ?」 入ってみたヒウンジムの内装はというと、辺り一面真っ白の繭だらけだった。 うん、たしかアーティさんは蟲使いだったはずだがいやそれにしてもこの内装はないだろう。 タチワキジムもライブハウスと大概ぶっ飛んだ内装だったがこれはこれでオレの予想斜め上の内装だ。 何故ジム内に巨大繭がゴロゴロしているのか。 あいた口がふさがらないとはまさにこのことだろうと思いつつ、いつもの如くガイドーさんから美味しい水を受け取って奥へと歩みを進めてみた。 「うおわあ!?」 一先ずと、手近な繭に近づいてみると。 突然強力な力で吸い込まれてジムの上階へと上げられた。 「い、いったい何が…」 『わー、ふっしぎー♪』 「とんとろ、燃やすなよ?」 『さすがに燃やさないよー』 そんなやり取りをしつつ、ジム内の探索…違った、攻略を目指す。 途中で繭を突き破って出てきたピエロにはとても驚かされた。 てっきり何もない繭だと思って近づいたものだから通常よりその驚きは大きい。 リイヤはどうも判っていたみたいで、そんな俺の反応を見て溜息をついていたけど。 判っていたなら教えてくれ。 しかしそんなこんなでどうにか辿り着いた最上階。 いよいよアーティさんとバトルだ。 やっぱりジムリーダーは強い。 オレの手持ちのほうがレベルは上だったけど。 シィマのレベルを上げたくて他の子には悪いけど出さずに頑張ってもらっていたら危うく瀕死にさせかけたのはここだけの秘密。 それでも比較的楽にアーティさんに勝ったオレは、戦ってくれた仲間を労いつつポケモンセンターで体力を回復させると、次の街へ行くためにゲートを目指した。 途中、広場を通りかかったのだけれど。 「!先程のあなた!」 下水道で出会った男性に声を掛けられ、捕まった。 「差支えなければ、あなたのポケモンを見せて貰いたいのです」 そう言って、リイヤの顔を覗き込む。 当のリイヤはというと、居心地悪そうに顔を顰め後ろに一歩下がる。 「何もしないのなら…いいけど」 「感謝します!」 彼の目は子供のようにキラキラしていて、断るのも忍びないかなと思ってリイヤには悪いが承諾すると。 彼はさらに目を輝かせて前後左右からリイヤを観察し始めた。 「ほーう…なんとまあ!あなたのリオルは同じ種族のポケモンよりも自身に溢れていますね!」 「そりゃ、大切な相棒だし。な」 『はい』 少し照れくさかったけどそう言ってやると、リイヤも嬉しそうに「ガウ!」と鳴いて答えてくれた。 「だが…あなた自身はまだバッジが3個のトレーナー…グレートです!理由は不明ですがあなたはパートナーであるポケモンの力を引き出している」 彼はなんだか自分の世界に浸りかけているのではないだろうか。 ぶつぶつと呟いたかと思うと突然大きな声を出しと、広場とは言え夜遅い時間にこれは迷惑になっているのではないだろうか。 承諾したとはいえ、早く立ち去りたいのだが。 「おっと、失礼!わたくしはアクロマという科学者です。「ポケモンの潜在能力は何によって引き出されるのか」という研究をしておりまして」 「はあ…」 「ポケモンの力を最大限に引き出すのは一体何なのか。トレーナーとの絆?それとも別の手段なのか?」 「オレは…絆だと思いますけど」 『私もそう信じていますよ』 彼、アクロマさんには聞こえていないだろうけど。 オレは隣にいるリイヤを見下ろしてそういう。 だからなのか、次にアクロマさんが言った言葉をうまく理解することが出来なかった。 「ですからそれを、あなたとバトルすることで確かめようと思います!」 「へ?」 「よろしいですね?」 「え、ちょっ…待った!」 突然のバトルに突入しそうだったその雰囲気を、うまく状況が飲みこめていなかったオレは慌てて止める。 するとアクロマさんは「ではこの先の4番道路でお待ちしております」と言い置いて去っていった。 よかった、あの人がちゃんと人の話を聞いてくれる人で。 オレは心の準備(笑)をしてからアクロマさんが待つと言っていた4番道路へ向かうことにした。PR