Play13 生体記録 2012年07月31日 その後ホドモエジムに来たオレ達。 どうやら先に来ていたヒュウ兄はもうジムをクリアしたらしい。 オレも負けてられないのかな、と思いつつ、ジムの中に足を踏み入れた。 「で、ここどこ」 『さあ…』 ジムに足を踏み入れてリフトを使い地下へ降りたオレ達は。 絶賛迷子中である。 暗いジム内であちこち歩き回っていたらすっかり自分の位置を見失ってしまった。 それどころか出口すらわからず、雨調はジムに入ってから連戦続きだ。 いい加減体力を消耗してきたようで、オレは傷薬を噴きかけてやりつつどっちが出口なのかを必死に考える。 「リイヤ、なんとかならない?」 『さすがにちょっと…』 「ダメかあ…」 がっくりと肩を落とし、適当にこっちかな?と道を進んでみる。 「ふん!やっと来たか、待たせやがって!」 「?」 そして辿り着いた先、今までのリフトとは色が異なるそこには、カウボーイハットをかぶった中年男性。 威厳さえ醸し出される皺のある顔は不機嫌そうにゆがめられている。 「えーっと、ここのジムリーダーさん?」 「ああそうさ。ワシがここのジムリーダーのヤーコンだ」 「よ、よかったあああ」 やっとたどり着いたのだと大きく息を吐きだしたオレに、ヤーコンさんは怪訝そうだ。 しかしすぐに表情を不機嫌そうなものに戻した彼は、そんなことはいい、と言ってボールを構え。 「さてと、お手並み拝見させていただくか」 そう言って、バトルを仕掛けてきた。 ***** さすがに連戦の中で鍛えられた雨調だ。 熱湯でヤーコンさんのポケモンを次々と倒していって、バトルはすぐに終わってしまった。 「まったく、大したもんだ。2年前と言い、本物の実力を持った若者が次々と現れやがる」 「2年前…?」 「ふん!こいつを持っていけ」 2年前はたしか、プラズマ団が解散した年。 そんな事を考えていたオレに、ヤーコンさんがクエイクバッジを投げてよこしてきた。 オレは慌ててソレを受け取る。 「ほう、これでバッジが5つか。ついでだ、この技マシンも持っていけ」 「うわわ」 そしてまた投げてよこされたそれ、技マシン「地ならし」を受け取る。 けっこう、動作が乱暴な人だな。 「よし、お前ワシについてこい」 「へ?え、あ…」 オレが戸惑っている間にヤーコンさんはリフトを動かし、それは地上へと上がる。 「いいステージにはいいダンサーが肝心だ」 「はあ…」 「こっちだ」 言って、ヤーコンさんは一人さくさくと進んで行ってしまう。 彼を見失わないようにとオレもその後を追った。 そうして出てきたホドモエジムの外。 そこではヒュウ兄が待っていてくれた。 「お、お前もジムバッジ貰ったのか!さすがだな」 「えへへ、ありがと」 「あのさ、ジムバッジを取れたのはたしかに相棒のおかげだけど。オレとこいつたちの繋がりって、モンスターボールだけじゃないよな。そうでないと、奪われたチョロネコの気持ち…」 「ヒュウ兄…」 「取り戻せないよな!」 「そうだね」 「何だお前ら、知り合いだったのか?」 話し合っていたオレ達に、ヤーコンさんが話しかけてくる。 「あ、はい。幼馴染なんです」 「オレのが上だけどな」 「ヒュウ兄ってば」 「ふん、二人ともなかなかだったからな。いい所へ連れて行ってやる」 「「いいところ?」」 着いて来ればわかるさ、そう言ったヤーコンさんはオレ達を案内してくれた。 連れて来られたのはポケモンワールドトーナメントという大会の開催されている場所。 ここには各地方から強者が集まり、誰が一番かを決めるらしい。 そしてそのまま仲間で案内される。 「あれ?」 「チェレンさんだ」 「やあ、久しぶりだね」 「どうしてチェレンさんが…」 「お前たち!」 会場内にはチェレンさんが居て、どうしてこの人がここに?と首を傾げたオレ達。 するとヤーコンさんがなにか用紙を持って近づいてきた。 「お前たちにはこれから何でもオーケーのホドモエトーナメントに参加してもらう!」 「え、急にですか?」 「8人参加のトーナメントで3回勝てば優勝だ」 「あの、オレまだ参加するとは…」 「なぜ僕まで…僕には調べることがあるのに」 「なんだ、何か文句でもあるか?」 「「いいえ…」」 まだ参加すると決めていないオレと、調べ物があるチェレンさん。 2人が参加を渋っていると、ヤーコンさんにギラリと睨まれてしまった。 うう、これじゃ断れないよ。 ヒュウ兄はヒュウ兄で参加する気満々だし。 結局オレ逹はこのトーナメントへと参加することを余儀なくされてしまった。 ***** そうして参加したホドモエトーナメント。 オレはいきなり初戦に当たってしまった。 そしてオレに相手はヒュウ兄だ。 どうやら本当に何でもありのルールらしくて、ポケモンの数こそ制限されているもののレベルはそのままだった。 だからヒュウ兄のポケモンともレベル差が随分あいているようで、あっけなく勝ってしまった。 次の対戦はどうやらチェレンさんと。 一度勝ったとはいえ相手は現役ジムリーダーだし、どうなるのか判らない。 と、思ったのだけれど。 そういえばチェレンさんの手持ちはノーマルタイプばかりだった。 そのおかげか、チェレンさんとのバトルも特に苦労することなく勝ち進む。 そうして迎えた決勝。 相手は誰だろうと対戦表を見てみると、そこに記された名前はアクロマ。 どうやら彼もこのトーナメントに参加していたらしい。 言葉少なにバトルが開始される。 勝負はまたもや偏りを見せた相手の手持ちのおかげで勝つことができた。 アクロマさんは何やら新しい発見がったとか言って喜んでいたけど。 受付に戻ってBPを貰っていると、背後が何やら騒がしくて。 振り返るとそこにいたのはホミカちゃん。 どうやらもっと熱く狂おしいほどのポケモンバトルをしろと言っているようだ。 変わらないなあ、と苦笑する。 ヤーコンさんはまたトーナメントに参加してくれよ、と言い置くとジムへと戻って行った。 オレ逹は一度会場の外へと出ることにする。 チェレンさんがオレ逹の成長に驚いたと話していた時。 黒尽くめの人がオレ逹の横を通り過ぎ走り去っていった。 「今の!?」 「うん」 あれは、プラズマ団だ。 まだこの街に残っていたんだ。 ヒュウ兄と二人して追いかけようとしたその時。 オレ逹を止める静かな声が聞こえた。 「およしなさいな」 「アクロマさん!」 「あんた、まえにヒウンシティの下水道で会った…」 「わざわざ危険な事に首を突っ込む必要などありません」 「けど、探してるポケモンが!妹のチョロネコが居るかもしれないんだ!!」 止めるアクロマさんの声に耳を傾けず、そう叫んだヒュウ兄はプラズマ団を追って行ってしまった。 「ボクも行きます!彼を護らないと!」 チェレンさんも、ヒュウ兄を追いかけて走り去っていく。 「……まったく。理解できません。あれは勇気ではなく愚行です!ポケモンが居ればトレーナーはどんなことでもできるのですか?」 アクロマさんは本当に呆れた様子でそういう。 けどオレは、そうではないと思った。 たしかにポケモンが居ても出来ないことがあるかもしれない。 けど、信頼関係、強い絆があればどうにでもなると思うんだ。 オレの甘い考えかもしれないけどさ。 「…なんでもできるのかは解らないですよ。でも、オレは出来ると信じたいです」 「君も、愚かな考えを持つのだね」 「愚かでもいいです。だって、オレは手持ちのみんなを信じてるから」 それじゃ、オレもヒュウ兄たちを追いますね。 そう言って、オレはアクロマさんと分かれて先に行ってしまった二人を追いかけた。PR