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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Play16

しばらく飛行機に乗り辿り着いた先。
飛行機から降りたオレに、アララギ博士は何やら真剣な様子でオレを連れてきた理由を話してくれた。

「チェレンから聞いたのだけれど、プラズマ団と名乗る連中が今一度伝説のポケモンでイッシュの支配を目論んでいるのですってね」
「はい」
「この地方にはレシラムとゼクロム、伝説のドラゴンポケモンが2匹いるわ。ただ、そのどちらのポケモンもそれぞれ英雄と認めるトレーナーに付き従っている」

2年前の事はオレも覚えている。
かつてプラズマ団の王だった人と、レイさん。
オレはプラズマ団の王だった人の事はよく知らないけど、そのどちらもが互いに掲げる理想の為にゼクロムとレシラムを従え戦ったのだ。

「だから、プラズマ団が伝説のドラゴンポケモンを利用するなんてできるわけがないはず…」
「ですよねえ……なにをするつもりなのかな?」
「そうね、ベル」

レイさんも、そしてもう一人の英雄も、今どこに居るのか知れない。
消えたもう一人の英雄を探してレイさんもどこかへ行ってしまったから。
今はどこで何をしているのだろうか。

「しかも、レシラム達についてはまだわからないことが多いの。そこで!」
「?」
「ソウリュウシティのジムリーダー、シャガさんに詳しい話を聞きたいのね」
「ドラゴン使いの、ですか」
「そうよ。で、ようやく本題なのだけど!あなたにはソウリュウシティに向かってシャガさんに話を聞いてきてもらいたいの。そして何かあった時に力を貸してほしいのよ!」
「はい、わかりました」
「ありがとう!もっとも、プラズマ団とは関わり合いにならないのが一番いいんだけどね」

たしかに、過激派のプラズマ団とは関わらないのが一番なんだろうな。
けど、ヒュウ兄がああなんだもん、きっとそれは無理な話なんだろうとも思う。
アララギ博士と、リバースマウンテンに調査しに行ってくると言ったベルさんと分かれて、オレはソウリュウシティへと向かうことにした。


******


さて、博士たちと分かれたのはいいがいったいどの道を進めばいいのか。
よく判らないからと道沿いに進んでみることにした。

途中ストレンジャーハウスという建物に寄ったのだが…その、幽霊屋敷だった。
ゴーストタイプのポケモンは平気だが幽霊は駄目なオレは、情けなくも悲鳴の連続だった。
絶対、もうあそこには近づかない…。

そう誓いつつ、別の道を進むことにしたオレは、今リバースマウンテンに来ている。
他に道もなさそうだったし、ここを越えて行くという事なのだろうか。

「あ、おおうい!シオンくん!」
「あ、ベルさん!」

リバースマウンテンの内部を歩いていると、先に来ていたベルさんと合流できた。

「あのねあのね、このリバースマウンテンで調査したいところがあるの。だけど野生のポケモンが思ったより強くって梃子摺っちゃってて…」

だからお願い!手伝って!

その言葉にオレは思わず頷いていた。
というか、レベル帯くらい事前に調べなかったのだろうか。
そんなところも彼女らしいと言えば彼女らしいのだけれど。

「あ、安心して!ポケモンの回復はあたしがするから!」
「それは、ありがとうございます」
「ということで出発進行!」
「わ、ちょっ!」

お礼を言っていたら急に背中を押されて半強制的に歩みを再開させられる。
この人も結構なマイペースっぷりだ。

結局ベルさんが調査したいと言っていた場所やその他を適当に散策し、出口だという場所を教えてもらって分かれた。
ベルさんはまだ調査したい場所が有るらしいので、彼女とはここで分かれることとなった。

そうして辿り着いたサザナミタウン。
オレはいつもの様に一通り町の中を散策する。
どうやらお金持ちの多いこの町には、四天王カトレアさんの別荘があるらしい。

ひとしきり散策し終わったオレは、ソウリュウシティへと向かうために13番道路に出ようとゲート前にやってきた。
すると、後ろからオレを呼び止める声。
振り向くと、しばらくぶりに会うヒュウ兄が居た。
久しぶりだと思った瞬間、オレはヒュウ兄にバトルを挑まれていたけど。

「やっぱシオンは強いな!」
「ポケモン育てるのは好きだから」
「うん、俺たちこれだけ強ければプラズマ団も逃げ出すよな!」
「どっちかというと、ヒュウ兄の気迫に押されたんじゃ…」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないよ」

ヒュウ兄はチョロネコを必ず取り戻すのだと息巻いている。
毎回毎回プラズマ団を見つけたヒュウ兄の反応は鬼気迫る様な物があって、オレはきっとこの気迫のせいで逃げているのだと思うのだ。
まあ、たしかにオレ逹の強さもあるのだろうけど。

ヒュウ兄はポケモン図鑑の完成も頑張れよ、と言い置くと、13番道路へと消えて行った。
オレもソウリュウシティを目指して13番道路へと向かう。


*****


途中道草もしつつ、なんとかカゴメタウンまでたどり着いたオレは、先に来ていたらしいアララギ博士とベルさんと合流した。

「あーい、シオン!」
「アララギ博士!」
「うふふ、空を飛ぶを使ったからシオン君を追い越してたみたい」
「あ、それで先に来ていたんですね」

そっか、そういえばこの2人の方がずっと先輩なのだ。
カゴメタウンに来たことがあってもおかしくはない。

「このカゴメタウンを抜けてまっすぐ行けばソウリュウシティよ。だけど、その前にあなたたちにも聞いてほしい話があるの」

そう、アララギ博士は真剣な顔で言う。
そしてこっちよ、と言って案内されたのは、一軒の家。
中に入ってみると、おばあさんが一人座布団に座っていた。

「あんたたちかい、カゴメの昔話を聞きたいというのは」
「はい。よろしくお願いしますね」

そうして語られたのは、カゴメの裏にある巨大な穴、ジャイアントホールのまつわること。

昔々、このジャイアントホールは巨大な隕石が落下してできたのだそうだ。
その隕石には恐ろしいポケモンが潜んでおり、辺りを闇が包むとそのポケモンは凍えるような冷たい風とともに姿を現して辺りを凍てつかせた。
そのポケモンは人やポケモンをとって喰らい、たいそう恐れられていた…。

それが、おばあさんが話してくれた話の内容。
ポケモンが人を食べるだなんて、今では信じられない話だ。
昔の話だからそのポケモンがどうなったのか今は判らないけど、オレはその話の恐ろしさに思わず身震いしてしまった。

「ところでシオン、レシラムの話は覚えてる?」

おばあさんの家をお暇した博士たちは、そのポケモンについて色々と語っているようで。
オレは専門外だからと傍で傍観していたら突然話を振られてしまった。

「え、あ…はい!」
「そう、レシラムは真実を追い求めるものを英雄と認め力を貸し与えるという伝説のポケモン」
「博士は、レシラムとさっきのお話のポケモンとが何か関係があるとお考えなのですか?」
「まだ何とも言えないわ。でも、隕石がね…」
「隕石?」
「レシラムも、そしてゼクロムも石から復活したのよ。そして昔話の隕石が同じものだったとしたら…」
「!」

たしかに、もし同じものだとしたら切って捨てることの出来ない問題だ。
もしかりにその恐ろしいポケモンがまた石になっていたとして、それが復活していたのだとしたら。
その復活したポケモンがジャイアントホールに居るのだとしたら…。

博士もまだ決定づけるのは証拠が足りないと言ってフィールドワークを続けると言っている。
オレはこのままシャガさんに会いに行って話を聞いた方がよさそうだ。
もちろん、ジャイアントホールのポケモンについても。

そうして再び別れたオレは、カゴメタウンの外へと足を向ける。
しばらく進み西口と思われる場所まで来ると、よく見慣れた姿。

「よう!」
「ヒュウ兄」

そう、ヒュウ兄だ。
彼は民家の壁に凭れてオレを待っていたようで、オレの姿を見止めると片手を上げて挨拶してきた。

「おまえ、この辺りでプラズマ団を見なかったか?そんな噂を聞いたんだが」
「うーん、オレは見てないかな」
「そっか」

少なくともオレが歩いてきた13番道路では見ていない。
オレの返事にヒュウ兄ががくりと肩を落としていると、カゴメタウンの先の道路から怪しい姿。

「やれやれ、それはご苦労な話だな」
「お前!」

現れたのは、プラズマ団のヴィオさん。
ヒュウ兄が反応しているのを余所に、彼は何やら勝手に語り始めた。

そして話される自分勝手な話に、ヒュウ兄の怒りのボルテージが上がっていくのが判る。
饒舌に話すヴィオさんの話を、ヒュウ兄の低い唸るような声が遮った。
ヒュウ兄のお決まりともいえるセリフを合図に、バトルが始まる。


*****


「ヴィオ様と戦ったのに!?」
「こやつらのこの強さ…2年前を思い起こさせる」

勝負に勝ったオレ達の姿を見て、ヴィオさんと下っ端が後ずさる。
少なくともヴィオさんの脳裏には今、2年前のレイさんの姿が思い起こされているのだろう。

「しかし、今はそれに構っている暇はない。やはりアレはソウリュウシティにあるのだろうか…」
「?」
「先を行くぞ!」
「待て!!」

ヴィオさんたちは何かを探しているのだろうか、そう呟くと一目散に退却していく。
ヒュウ兄もその後を追いかけて行く。
オレはそれを見送って、一度バトルに出てくれたリイヤを回復させるためポケモンセンターへ向かう。

ヴィオさんたちはソウリュウシティと言っていた。
ならばまた必ず出会うはずだ。
ヒュウ兄ほど慌てて追いかけることもないだろうと結論付けて、オレはポケモンセンターを出た。
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