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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Play19

「!」
「あ」

外に出ると早速、待っていたヒュウ兄と目があった。
ヒュウ兄はオレの様子を見て勝ったのだなと嬉しそうだ。

「本当ならすぐにポケモンリーグに挑戦…なんだけど。プラズマ団が先だ!」
「うん!」
「よう!おはんら!プラズマ団ってなにしておる連中よ?」
「し、知らないんだ…」

ジムリーダー全員には伝わっていないのかな。
まあ、いいんだけど。

ヒュウ兄がプラズマ団の説明をして知らないのかと聞いてみたら。
シズイさんは胸を張って「知らん!」と言っていた。
すごく堂々としてるなあ。

「海で暮らしているとな、そういうことあんまり気にならん」

ああ、この人って堂々としてるんじゃなくて良くも悪くもマイペース。
もっとソフトに言えば大らかなんだな。

「で、おまはん、プラズマ団は悪いと思うか?」
「お、オレ?」
「そうじゃ、おはんや」
「オレは、悪いと思う。少なくとも、自分たちのためにこの地方を巻き込むのはいけないと思う」
「そうか、悪いから戦うのか。さてと…」

それだけを言って、シズイさんはどこかへ行ってしまった。
本当にこの人マイペースだな…。

「ったく、なんなんだとあのマイペースな人。まあいい、シオン、お前は22番道路でプラズマ団を探してくれ」
「うん、わかった。ヒュウ兄、気をつけて」
「おう!」

そこで、オレ逹は一度分かれた。
プラズマ団、22番道路にいたらいいんだけどな…。
そんことを考えつつもやってきた22番道路。

草を掻き分けつつ進んだ先に、茶色い巨体。
どうやらポケモンの様だが、このポケモンはいったい…?

「今あなたの眼前で存在感を放つそのポケモンはテラキオン!」
「!」

オレの疑問を聞いたかのように答える声。
声のする方へと振り向くとそこには。

「久しぶりです!」
「アクロマさん」
「テラキオンは戦いの炎からポケモンを護るため人と戦った三匹のポケモンの一匹!」
「三匹の…」

もしかして、コバルオンの仲間だろうか。
たしか電気石の洞窟へ行く道中で会ったおじいさんがそんな事言っていたような気がする。

「きっと、プラズマ団が発する危険なにおいをかぎ取り彼らに対抗できる強きトレーナーを求めているのでしょう」
「……だから彼らは…」
「彼らがあなたの前に現れたのは興味がある!それはさておき、あなたはプラズマ団と戦うのですか?」
「…はい」
「なるほど!ならば自分のポケモンを護れる強さを持つのです!ポケモンに守ってもらうだけがトレーナーではありません」

言われなくても、わかってる。
いくら強いポケモンが手持ちにいたとしても、そのポケモンとの絆が無ければ本当の強さは出せない。
ポケモンとトレーナーが互いを強く思いあうからこそ強い力が発揮できるのだ。

「これはわたくしからのプレゼントです」
「?」

手渡されたのは、小型のリモコンのような物。
これはいったいなんだろうか。

「それはポケモンを活性化させる装置の試作品!」
「し、試作品!?」

どうしてそんな物を手渡したのだろう。
それに試作品って…。

「戦っているポケモンには使えませんが、何かの役に立つこともあるでしょう」
「……本当に使って大丈夫なのかな」
「では、あなたとポケモンの旅の無事を祈って!」
「ちょ、まって…」

渡すものを渡して言う事を行ったアクロマさんは、なぜかポーズをとって去って行った。
あのポーズ、する必要あったのかな。
オレの隣ではリイヤが突っ込んだら負けですって遠い目で言っていた。


*****


アクロマさんからなんともネーミングセンスの欠片もないアクロママシーンを受け取ったオレは、来た道を戻ることにした。
そのままジムの前を通り21番水道へと出る。

「ヒュウ兄ってこっちだっけ?」
『どうだったでしょうか』

22番道路にプラズマ団は居なかった。
その事を伝えるためにもオレは来た道を戻り21番水道へと来たのだ。
が、ヒュウ兄がこっちへ行ったのか覚えていない。

とりあえず進んでみようとリイヤと相談し、水道の先を行く。
すると、洞窟らしき入り口が見えてきた。
上陸し、中へと入ってみる。

「広いね」
『ですが道は単調です』

迷うような構造ではないため、進むのは楽だ。
雨調に乗って洞窟内の水源を上っていく。
しばらく進んだ先に、階段と地上への出入り口が見えてきた。

「あれ…?」
『障害物、ですね』

出入り口の前には大きな岩。
前にも見たことがあるような光景だ。
いったいどこで見たことがあるのだったかと考えつつ進んでいれば、すぐに辿り着く。

「んー…」
『いったいどこでしたか…』
「……あ」

首を捻っていたら思い出した。
そうだ、4番道路だ。
たしかあの時もこんな感じで大きな岩が道を塞いでいた。
あの時はアクロマさんが…。

「んん?」

これってもしかして。

『アクロママシーン、ですね』
「……」

使えってことなのか、そうなのか。
でも試作品って言ってたよね、たしか。
それをポケモンに使うのは…なんだかちょっと…。
でも、これを使わないと先に進めないんだよな。

「うー…ほんとはちょっと嫌だけど…仕方ないよね」
『大丈夫だと信じましょう』

リイヤの後押しもあって、オレはアクロママシーンを使うことにした。
すると、道を塞いでいたイワパレスはむくりと起き上がると元気な鳴き声を上げてオレに襲いかかってきた。

「うわ!?」
『マスター!』

慌てたリイヤがオレの眼前に飛び出し、イワパレスを蹴り上げる。
いつも己を鍛えているだけの事はあるリイヤの強烈な蹴りは、イワパレスを壁へと叩きつけた。

「リイヤ、やりすぎ!」
『申し訳ありません。ですが、急にマスターを襲ったので…』
「うん、助けてくれてありがと。でも、もうちょっと加減してあげて」
『はい』

オレはリイヤを窘めつつ、壁で伸びているイワパレスを捕獲した。
それにしても、鳴き声って「ぱれっしゅ!」なんだ…。
随分可愛い鳴き声だなと思っていたら、このイワパレス♀だったけど。

「……あれ?」
『壊れてますね』

捕まえたイワパレスがボックスへと転送されるのを見送り、ふと気づく。
手に握られたアクロママシーンが壊れているのだ。
試作品とあるだけに、使用に耐えられなかったのだろうか。
まあ、使ったポケモンにはなんの異常もなかったから少し安心したけど。

「それじゃ、行こうか」
『はい』

イワパレスを捕まえた事で道の開けた出口。
リイヤと頷きあって、オレは出口へと歩みを進めた。
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