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刻の本

古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。

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Play21

22番道路のその先、洞窟の中はそのままジャイアントホールへと続いている。
洞窟へ入ったオレは、中を道なりに進んでいく。
と、プラズマ団の下っ端が何事かを話し込みながら道を塞いでいるのが見えてきた。
後ろから丁度ヒュウ兄もやってくる。

「お、もう来てたのか。って、あいつら…」

オレの傍に来たヒュウ兄は、早くもプラズマ団の姿を視界に入れたらしい。
ヒュウ兄の周りの空気が剣呑になる。
相変わらずプラズマ団を見つけてから臨戦態勢に入るまでが早いなと、オレは妙な所で感心を受ける。
って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
オレがフルフルと頭を振っていると、奥から誰かが走ってくる音が響いてくる。

「おーい!ここはもういいってよ!」

奥から走ってきたのは、別のプラズマ団員。
何か命を受けていたのだろう彼らを呼びに来たらしい。
やっと戻れる、と喜んで駆けて行った彼らを見送り1人になった彼に、ヒュウ兄が静かに声をかけた。

「一人になったか。どっちと戦うか好きな方を選べよ」
「あ、君は!」

振り返った下っ端が、パアっと顔を綻ばせてオレの方を見やる。

「おれです、おれ!元プラズマ団の!」
「あ!」

その顔には確かに見覚えがある。
彼は確かロットさんの所にいた…。

「ロットさんに頼まれてスパイをしてるんです」
「ああ、そういや居たな、お前…」

ヒュウ兄も気づいたらしい。
チッと小さく舌打ちして構えていたボールを仕舞う。
ヒュウ兄、舌打ち良くない。

一先ず戦闘は回避できたなと思っていると、ヒュウ兄はさっさとさっきの彼らを追って行ってしまった。
本当に、ヒュウ兄もここに居る元プラズマ団の人たちも必至だな。
奪われたポケモンを取り戻すため、かつて王だったというNさんが再び悪者にされないため。
両者ともそれぞれの思いを抱えて現プラズマ団を追い、止めようとしてる。

元プラズマ団の人も、まだすることがあると言って先に行ってしまった。
オレも早くヒュウ兄を追いかけないと。


******


しばらく洞窟の中を彷徨ったりカゴメタウンから行ける道を繋いだりしつつ、ようやくオレはジャイアントホールの中心部へとたどり着いた。
視線の先にはロットさんと彼に従う元プラズマ団員、そしてヒュウ兄の姿。
どうやらロットさんたちは昔の仲間を説得しようとしているらしい。
しかしロットさんの言葉は現プラズマ団員には届かない。
痺れを切らしたらしいヒュウ兄がとうとうバトルを仕掛けた。
オレも援護の為にボールを構える。

「リイヤ、頼む。サイコキネシスだ!」
『はい!』

相手の繰り出した手持ちは毒タイプ。
リイヤがサイコキネシスで確実に相手のポケモンを仕留めていく。

「くっそ!」
「こんなガキどもに俺たちが!」

バトルに負けた下っ端たちが一歩後ずさる。

「おまえたち、ポケモンは大丈夫か?」
「ロットさん…オレのポケモンは大丈夫です」

バトルを終えたオレ逹に、ロットさんが声をかけてくる。
大丈夫といったオレに、しかしロットさんは持っていけと元気の塊をくれた。
お礼を言って、それをバッグに仕舞い込む。

「ったく、またきやがった」

隣でオレと同じように元気の塊を受け取っていたヒュウ兄が呟く。
ヒュウ兄の視線をたどると、プラズマ団の仲間が駆けてくるのが見えた。
ロットさんたちもそれが見えたのだろう、オレ逹の前に立つと先に行けと促して増援の相手をしだした。

「ヒュウだったか」
「なんだよ」
「お前が探しているポケモンはダークトリニィの誰かが持っているはずだ」
「本当か!?」
「ああ」

駆けだそうとしたオレ逹、正確にはヒュウ兄をロットさんが呼び止めた。
なんだろうと話を聞いていたら、まさかの奪われたチョロネコの話。
ダークトリニィ、オレ逹を何度か船外に放り出したあの忍者みたいな人たちだ。

「わかったっ!アイツらに会えたならあんたらの罪滅ぼしだっけ?手伝ってやる!」

ヒュウ兄はそれだけを言うと、ロットさんたちの横をすり抜け駆けて行く。
オレもロットさんたちに小さくえしゃくをすると、ヒュウ兄を追って駆け出した。


*****


駆けだしたのはいいものの。
中心部は冷たい冷気と氷に覆われている状態。
足元も土ではなく氷に覆われており、歩くというより滑るに近い。

「うわわわ!あでっ!!」

オレはなんとか踏ん張ろうとするも甲斐なく、足を滑らせては所々に出来上がっている氷柱に激突している。
滑って勢いがついているだけにかなり痛い。
リイヤは危ないからとボールに戻ってもらっているが、これは素直に運んでもらった方がよかったかもしれない。

『(だから運びますと言ったのに…)』
「あはは…」

ボールの中から喋るリイヤの声はくぐもって聴こえる。
それでも呆れと心配がよく伝わってきて、オレは苦笑するしかない。

「っと、ここだな」

しばらく滑っては激突するのを不本意ながら繰り返し、プラズマ団の船へとたどり着いた。
タラップが下りているから、今度は乗るのに困らないだろう。

「あちゃー…」

そうして早速乗り込んだ船の中では、もはや恒例ともいえるヒュウ兄のバトルが始まっていた。
多くに下っ端が居る中、多勢に無勢だ。

「(これだから心配なんだよな。いくらヒュウ兄が強くても、数が多かったら大変なのに)」
『マスター、はやく助太刀を』
「うん」

船に乗り込んでボールから出てきたリイヤが言う。
言われなくてもそのつもりだから、大丈夫だよ。

「ヒュウ兄!」
「シオンか!ここはいい、俺だけでなんとかなる!」
「ちょ、無謀だって!」
「大丈夫だ!それよりお前は先に行け!ダークトリニティかチョロネコを見つけたら知らせろよ!」
「あ、ちょっと!」

ヒュウ兄はそれだけを言うとバトルに集中してしまった。
これじゃオレが何を言っても聞かなさそうだ。
しかたない、とオレは先に進むことを選ぶ。

『よろしかったので?』
「うん。ヒュウ兄も強いから、相手が多くても勝てるって信じてる」

ヒュウ兄が大丈夫って言ったんだから、オレはそれを信じるよ。
リイヤにそう言って、オレは一先ず前回乗り込んだときは行けなかった場所を中心に探すことにした。

「待っていたぜ!」
「!!」

扉をくぐると、両脇で待ち伏せしていた下っ端二人に捕まった。
まさかここで待ち伏せているとは、完全に油断していた。

『マスター』
「うん、行っといで」

待ち伏せされたとしても、オレ逹はそう簡単にやられないよ。
すぐに冷静さを取り戻したオレは、リイヤとアンディを繰り出す。

『あ?久しぶりのバトルか』
「アンディ、頼むよ」
『任せとけって、すぐに終わらせてやる!』
『あまり暴れるなよ』

やる気満々で飛び出していくアンディと窘めるリイヤ。
こんなやり取りをしていても気の合うらしい二人は、あっという間にバトルを終わらせてしまった。
バトルに負けて膝をついている下っ端二人をしり目に、オレはワープパネルへ飛び込む。

ワープ先にはさっきの元団員が居た。
このエリアの構造を教えてくれる。
パイプを繋げて進まなくてはいけないこのエリアは、少々面倒そうだ。

しばらくパイプを繋げたりワープしたりとぐるぐるエリアを回り、ようやくすべてのバリアを解除できた。
そこからさらに元のワープパネルに戻るまでにぐるぐる歩き回ったのはここだけの秘密だ。

そして解除されたバリアの先、装置の中に繋がれたキュレムをようやく目の前にできた。
しかし、近づくオレを遮るかのように後ろから声がかけられる。
振り向けばそこにはヴィオさんの姿。

装置からキュレムを出させはしないとボールを構えバトルを仕掛けてくるかれに、オレも応戦する。
連戦が続いているけど、リイヤには頑張ってもらわないと。

またもやオレとの勝負に負けたヴィオさんが後ずさる。
負けてもなお、最後に笑うのはプラズマ団だと言うヴィオさんをしり目に、オレはキュレムを助けるため装置へと近づいた。
しかしその装置はオレでは解除できないようで、どうすればいいのか途方に暮れる。

「キュレムを助けるのは、ここじゃないのか?」
『マスター、あそこ』

歯噛みしていたオレに、リイヤが一点を示す。
部屋の隅、隠れるようにして存在するワープパネル。
他に助けられそうな手段もなく、オレは試しとそのパネルの上に乗った。
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