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古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。
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「いいか、この言葉は『言葉』というよりは『音』に近い」
朝の日差しが射し込む勉学塔内の一室。
机に教科書を広げまじめに聞いている者もいれば、眠そうにしている者や寝てしまっている者もいる。
そんな彼らに「ちゃんと聞いておかないと泣くのはお前らだぞ」と茶化す、深海を写したかのような蒼い瞳とそれより薄い色の瞳の青年―――コウリュウは、再び授業の続きを開始した。
「俺たちが『古代語』と呼んでいるこの言葉は元は古き精霊たちが使っていたものだとされている」
授業の内容を説明しつつ、彼は生徒たちの間を通り、寝ている者や寝そうになっている者たちの肩を叩いては起こす。
起こされた者たちは慌てて教科書を開くもまだ眠気が去っていないのか再び瞼が落ちそうになる者が大半だ。
「古代語は『音』で全てを表現する。」
音の一つ一つには魔力が宿り、それらの音を繋げることによって大きな力へと変わっていく。
それゆえに、きちんと理解し操ることで通常よりも強力な力を発揮することも可能となる。
「特に白魔術師、黒魔術師、言霊使いには大きな恩恵があるだろうな」
これらの職は魔法を発動するのに詠唱を必要とする。
そしてその詠唱を古代語で行うことにより、より強力な魔法を発動することができるのだ。
「せんせー」
「なんだ?」
相変わらず生徒の間を歩き説明していた彼に、生徒の一人が声をかける。
「音で表すのなら、どうして言葉なんですか?」
「んー、単純に言えばその音がそれぞれ意味を持ってるからかな」
「音一つ一つが意味を持っているから、言葉だと?」
生徒たちは疑問に思ったことを次々に質問していく。
それに答えつつ、ゆっくりと教卓へと戻る。
「そうだ。古代語は今の俺たちが使う言葉と根本は同じ」
古き精霊たちは会話するのにも使っていたとされているしな。
「まぁでも、『音』だから今の人間が理解するのは難しいだろう」
俺も正直大変だったし今も完全に扱えるわけじゃない。
そう言い、教科書を手に取る。
「それじゃ、とりあえず覚えるのは後にしてどうやって今の言葉になったのかをするか」
「あ、結局覚えるんですか」
「ん、簡単なものだけな」
さすがに本格的にやると今期の授業丸々潰れる。
「さ、教科書の…」
言いかけた時、丁度終業の鐘が鳴った。
今日はこれで終わりだ、と教科書を閉じる。
「次の授業は今日の続きだからな」
「はーい」