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古びた本は 今も昔も刻(とき)を刻む。
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荒野の中、一角だけ緑の生い茂る場所がある。
鬱蒼と生い茂る木々の中心には古びた城が聳え立ち、異様な景色を作り出す。
しかし禍々しさは無く、そこに流れる空気は穏やか。
城の中心、丁度中庭に当たるだろう場所に突如青白い魔法陣が現れた。
そこから現れたのは3つの影。
「ん、ちゃんと着いたね」
1つの影、金色の髪を揺らし周囲の景色を確認するかのように動く蒼の瞳を持つ少女―――この世界において最強の名を冠する能力者でもある彼女―――レイナは、自分たちの今いる場所を確認し、目的地へ着いたことに一つ息を吐いた。
「ちーちゃん、くー。遊んでおいで」
残る2つの影―――白い体躯に碧の瞳の幼竜と、漆黒の体躯に紅の幼竜―――は、レイナの言葉を聞いてその場から飛び立った。
「さて、話をしようか」
おそらく周囲の森で遊ぶのだろう、2匹の姿を見送った彼女は、視線を逸らさず誰かへと語りかけるように話し出す。
彼女の後ろにはいつ来たのか、髪も瞳も服までもが漆黒の、闇を纏ったかのような男性が1人。
「見つけることが出来たかい?」
穏やかな笑みを湛え彼―――全ての闇の親であり主である魔王―――クロスが問う。
「ええ、古すぎて大変だったけど」
肩を竦めて、答える。
「それじゃぁ、聞こうか」
相変わらず彼は笑みを湛えたまま。
瞳に写る色も、とても優しい。
≪---≫
レイナが口を開き、音のような“名”を紡ぐ。
彼の瞳のように優しい音色で。
それをクロスはただ静かに聴く。
「クロス」
あの子が、自身の名を呼ぶ。
今度は、本当の名ではなくて。
「その真名を、」
あぁ、ようやく終わるのだと。
古(いにしえ)の時に交わされた約束が。
我知らず、心が歓喜に満たされる。
「支配する」
そして彼女は言いきった。